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白髪を防ぐ方法と対処法って??毛髪の最新研究をわかりやすく解説

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こんにちは!
ライターの渡辺彩季です。普段女性向けウェブメディアでライターをしている私が、ユーザー目線で専門的な科学の知識を学んでお届けしていきます!

“とにかくきれいな髪の毛になりたい”という気持ちを持った、すべての人へ分かりやすく髪に関する知識を共有できたらと思います!「専門的なことは分からない!」という方も大丈夫。親切丁寧なミルボン研究員が、優しく説明してくれます!

今回のテーマは“白髪”について。
白髪ができる原因って…?
合わせて対処法についても教えていただきました!

彩季 私自身、アラサーになってから白髪で悩んでいる同級生が増えてきました。白髪はエイジングを気にするすべての人に興味深いテーマですよね!まずは白髪ができる仕組みを教えていただけませんか?

伊藤 白髪ができる原因は主に2つのことが考えられます。頭部には「メラノサイト」という場所があります。
このメラノサイトは、黒髪を形成するメラニンという色素を作る工場の役割があります。

そして、毛根にメラニンを運ぶ「輸送系」というトラックの役割をする場所があります。
この2つのうちのどちらかが機能しなくなったときに毛根にメラニンが運ばれなくなってしまうため、白髪が生えるのです。

彩季 「メラノサイト」か「輸送系」が機能しなくなってきたときに初めて白髪が生えてくるのですね!
ちなみにこの「メラノサイト」や「輸送系」を復旧させることはできないのですか?

伊藤 一度壊れてしまった「メラノサイト」と「輸送系」は現状では蘇生させることはできません。
なので、「メラノサイト」と「輸送系」を機能させ続けることが大切です。
少しでもその劣化を防ぐためにもタンパク質をきちんと摂ったり、紫外線などから髪や頭皮を守ったりする習慣を継続して取り入れるようにましょう!

彩季 今動いてくれている「メラノサイト」と「輸送系」の現状をキープすることが必要ということですね。ところで、「白髪は抜くと増えるから、抜かない方がいい」と聞いたことがありますが、それは本当ですか?

伊藤 その意見は、あながち間違ってはいません。
これは白髪だけではありませんが、髪の毛を引っ張って抜くことで毛根が刺激を受けます。
刺激を受けた頭皮が炎症を起こしてしまって、周りの細胞が死んでしまうことがあるのです。
髪を抜いたときの刺激で、まだ機能している「メラノサイト」や「輸送系」にダメージを与えてしまい、機能しなくなる要因になってしまうことが考えられます。
なので、実はこの話は理にかなっていますね! 悪循環になってしまう可能性が高いです。
白髪を除去することで、そのときの見栄えはよくなるかもしれませんが、リスクも高いから避けた方がいいと思います。

彩季 え…これまで父の白髪を10年くらい抜き続けていました(泣)
衝撃の事実です…。
時間や労働力が無駄になってしまったどころか、かえって白髪の進行のお手伝いをしてしまったかも(汗)
もうこれからは抜かないようにします…。

伊藤 白髪の原因は、ほかにも遺伝要素や生活習慣などいろいろ考えがあります。

彩季 たしかに親が白髪だったら、子どもも白髪になりやすいってよく聞きます!
実際のところ、やっぱり影響はありますか?

伊藤 すべてとは言えませんが、遺伝要素は強いと思います。

彩季 ストレスによって白髪が増えるという説もありますが、いかがでしょうか?

伊藤 それも一概には言えません。
もちろん白髪ができる要因のひとつにストレスというものがあります。
しかし、ストレス以外にもいくつかきっかけになるものが考えられます。
例えば、頭皮にいる菌による影響です。
白髪になりやすい人は頭皮が赤い傾向があります。
さらに、最新研究では頭皮が赤い人は頭皮にいる常在菌「コリネバクテリウム」という菌の割合が増えている傾向があることがわかっています。

伊藤 これが原因によって白髪が生えてしまう場合は、「コリネバクテリウム」を減らすことで対処ができるかも知れません。
もちろん白髪を黒髪に戻すことはできませんが、現状を維持することは可能です。
研究を進めたところ特定のシソ科の植物エキスが「コリネバクテリウム」の割合を正常化させてスカルプフローラのバランスを改善する働きがあることがわかってきていて、それを効果的に用いた頭皮ケア行うことで白髪が増えないようにアプローチすることができます!

彩季 すごい!!
若いうちから使い続けることで、白髪対策をすることができますね!

伊藤 少なくとも「コリネバクテリウム」が原因による白髪については対策できます。

伊藤 毛髪内の脂質には様々な種類の化合物が含まれています。
この脂質成分は組成や量の違いが、毛髪に様々な影響を与えていると考えられています。
過去にも毛髪中の脂質成分に関してはいくつか報告があったのですが、同一人物についての詳細な報告はありませんでした。
そこでミルボンは日本人女性の同一人物における白髪と黒髪の脂質成分の組成や量の違いについての研究に着手しました。
その結果、白髪と黒髪に含まれる脂質量に違いがあることが分かりました。

彩季 カラーをするときに白髪だと黒髪よりも染まりにくいということはありますか?

伊藤 結論を言えば、白髪の方が染まりにくいです。
ただ、よく言われている「白髪の方が油分が多いから、カラー剤をはじいてしまって染まりにくい」という結果とは違いました。
実際に調べてみた結果、黒髪の方が白髪に比べて油分が多いということが分かったんです。
なので、油分の量はここでは関係ありません。

白髪と黒髪の脂質総量の比較

伊藤 毛髪内の金属に関する研究は過去にいくつか報告されていますが、日本人女性の白髪と黒髪についての詳細はありませんでした。
そこで、ミルボンは日本人女性の白髪と黒髪に含まれる金属量についても研究しました。
その結果、白髪の方が全体的にカルシウムや亜鉛などの金属量が少ないことが分かったんです。

白髪と黒髪中のカルシウムの定量結果(A)
毛髪断面のカルシウムのマッピング像(B)

※白髪は黒髪よりもカルシウム量が少ない(A)
白く光っている部分がカルシウム。白い部分の密度が高いほどカルシウム量が多い(B)
白髪と黒髪中の亜鉛の定量結果(C)
毛髪断面の亜鉛のマッピング像(D)

※白髪は黒髪よりも亜鉛の量が少ない(C)
白く光っている部分が亜鉛。白い部分の密度が高いほど亜鉛の量が多い(D)
白髪と黒髪中の銅の定量結果(E)
毛髪断面の銅のマッピング像(F)

※白髪は黒髪よりも銅の量が少ない(E)
白く光っている部分が銅。白い部分の密度が高いほど銅の量が多い(F)

彩季 金属量が違うと何が変わるのでしょうか?

伊藤 一般的に、髪に含まれる金属はカラーリングの反応を早める物質として働きます。
つまり、金属量が多い黒髪は白髪よりも早く染まってしまうということです。

彩季 じゃあ、白髪と黒髪を一緒にきれいに染めるにはどうしたらいいのでしょうか?

伊藤 実は、金属の働きを抑える効果のあるキレート剤という成分があります。
キレート剤が効果的に配合されているカラー剤を使うと、白髪と黒髪を一緒にきれいに染めることができまよ。

彩季 おしゃれなカラーを楽しめることができる白髪染めなら、若い人でも使いやすいですね!
ちなみに食事やヘアケアアイテムから白髪にカルシウムや亜鉛を取り込むことで、なにか効果はありますか?

伊藤 白髪が黒髪になるなどダイレクトに効くというわけではありませんが、供給することはできますよ。

彩季 じゃあ、やっぱり普段の生活習慣やお手入れにも意識を向けないといけませんね。
学校や会社で健康診断を受けるみたいに自分の髪の状態も把握できたらいいのになぁ…

伊藤 頭皮の健康診断も将来的にできるようにと日々研究に取り組んでいます。

彩季 そうなんですね。
肌に異常があったときに皮膚科に行くように、髪の毛にもクリニックのような駆け込み寺的な場所ができたらありがたいです!
男女問わず、髪状態を気にしている人は多いので、需要はたくさんありそうですよね!

伊藤 近い将来できるように頑張りますので、楽しみにしていてください!

彩季 はい!首をなが~くしてお待ちしています!

≪まとめ≫
今回は“白髪を防ぐ方法と対処法”についてお話を伺いました。
今まで家族に頼まれたら、素直に白髪を抜いてきた私…もしかしたら良かれと思ってやっていたことが裏目に出てしまっていたのかも。
毛髪を専門的に研究されている伊藤さんの言葉は説得力のあるものばかり。
今後は正しい知識を持って白髪と向き合っていきたいと思います!
そして、今回学んだことは白髪を増やしてしまったかもしれない(?)家族にも共有させていただきます!!)

執筆 : 渡辺彩季
写真・編集 : ミネシンゴ

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