INTERVIEW

NYでハサミを持つ美容師が感じた日本との働き方の違い。|NYサロンレポート

INTERVIEW | 2018.06.28

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旅行で初めて来たときに感じた「歩いているだけで気持ちが高鳴るエナジー」に溢れた街。当時、それは旅行中だから特別に感じることなのかなと思っていたけれど、住み始めて7ヶ月経った今もそのときめきは毎日変わらない。
この連載は、モデルのベイカー恵利沙がNYで見つけたオシャレサロンに訪問して、実際にサロンサービスを受けてみた体験記。

第一回目は、流行の発信地ブルックリンにお店をオープンして13年目、現地のトレンドセッターから絶大な支持を得る「SHIZEN BROOKLYN」。お話を伺ったのは、トップスタイリストを務めるJunkoさん。


”これが当たり前になったら帰ると思う”

Junko 「NYに住んで8年、何年経っても新鮮な気持ち。静岡出身で、専門学校から東京に出て15年、そのあとNYに来たんだけど、こっちでの仕事帰りのタクシーで毎日williamsburgブリッジを渡るとき、「やばい。私いまNYにいるんだ。」って夜景を見ながら思うの。ここに来てるんだから頑張らなきゃって。毎日どきどきする大好きな場所。これが当たり前になってしまったら帰ると思うなあ。」

ベイカー恵利沙(以下Elisa) 東京で働いていたのに、どうしてNYに?

Junko 「もともとアジアをバックパックで旅するのが好きで、都会ってあまり好きじゃなかったの。NYに住んでいる友だちが1度遊びにおいでって言ってくれてたんだけど全然興味がなくて。でもまあ行ってみるかって思って来てみたら、本当に衝撃的! 街を歩いてるだけでワクワクする感じ。みんな意思を持って歩いていて、キラキラして見えた。そこにいるだけで自分の向上心が刺激された。10年前くらいだったかな、いつか私もNYで働きたいって。」

Elisa それからどうやってSHIZENにたどり着いたんですか?

Junko 「私はもともと東京の青山にある美容室にいたの。私のお客さんにサロンの内装デザインをする会社のひとがいて、今度面白い美容室の内装をするんだっていう話を聞いて…NYにあるSHIZENという美容室の青山店があると。興味があってそのサロンに行ってみたらオーナーがとても感じがよかったの。それが今のボス!私もNYで働いてみたいって話したら、今うちに来れば?って。行きたい気持ちと来て欲しい気持ちがマッチすることってなかなかないじゃない?それだったらお願いします!って。」

――私(Elisa)がNYに来た理由はいくつもあるけれど、ひとつは「来年の自分の姿」が見えてしまったこと。自分 がどんな生活をしてどんな仕事をしているか、数年先のことがなんとなく想像できてしまった。それが 見えた途端、なんだか恐ろしくなって、まるっきり予想の付かない未来に飛び込みたくなった。だから仕事も家も決めずに来た。Junkoさんから同じ答えが帰ってきたとき、すごく嬉しくなった。

”足りないものがある人間の方が強い。それを補う努力をするから”

Junko 「東京にいたときはそこそこのキャリアを積んでいたから、5年後の自分がどれくらいの仕事量と給料かっていうのが見えたんだよね。それが良いひともいるけど、安定してしまうのが私は恐かった。自分がどうなるか分からない方が努力もするだろうし、日本での肩書から抜け出したかったの。どうなるかわからないところに身を置いて、1からチャレンジしたかった。」

Elisa NYに来て大変だったことはなんですか?

Junko 「やっぱり最初は英語かなあ。私はネイティブじゃないから、そこに負い目がある。でもそれってすごく良いことだと思っていて、自分で何かが足りてないって思う人間の方がそこで努力をするから、成長していくと思うの。NYに来たらお客さんは誰もいないし、英語も喋れない。出来ないことが山積みなわけね。だからこそすごく努力したし、言葉が通じない分、目とか動作とかから相手を読み 取る力がすごい強くなった。ひとの弱点って、強さにつながるんだと思うな。」

Elisa こんなに長く居ると思ってました?

Junko 「東京のサロンを思い切って辞めて、たくさんの人も注目しているだろうから、負けて帰ることはし たくなかった。最低でも3年はいて、楽しいと思えるまでは帰らないって決めてたんだけど、NYに来た瞬間から楽しかったから、それは帰らないよね! ボスがね、せっかくNYにいるんだから仕事だけじゃなくて、旅行も遊びもした方がいいって言ってくれるひとたちなの。日本だと、どれだけ働いてど れだけ休んでないかっていうことへの美徳があるでしょう?私にはそれが合わなかったのかも。こっちだとちゃんと休みながらも時間内に仕事することが美徳だから、考え方も私に合ってる。もちろんすごく忙しいけど、人間らしく働けるんだよね。」

ーーNYに来てから7ヶ月、1度も年齢を聞かれたことがない。仕事の採用面接中も、もちろんレジュメに 生年月日を書く欄もなくて、友達も職場のひとも誰ひとりとして私の年齢を知らない。とくに女性だと感じやすいであろう「年齢のリミット」というものがここには一切存在しない。プレッシャーも周りの目線もなにもない。私がNYに来たのは28歳のときだ。働く女性として、NYで生きることについて もJunkoさんに話を聞いた。

”歳の話をしないから、歳を取らない”

Junko 「日本には敬語の風習があるから、相手が自分より年上なのか年下なのか確認しないと失礼になってしまうというのがあるでしょう?その点、アメリカではその必要がないから、わざわざお互いに年齢の話をしない分良い意味で自分でも年齢を感じないで生きていけるんだよね。
日本だと、年齢をわざわざ隠す女性の方も多いでしょう。年齢はわたしの生きてきた証だから隠したくないし、誇りを持っているの。NYにはかっこいい年上の女性の方がたくさんいて、自分の生きてき た歴史を否定したくないって思うし、年齢を気にしないでいまやりたいことをできる環境だなってすごく思うの。」

※セリーヌなどのアートディレクションをしているピーターマイルズが手がけた壁のアートは、もとも とSHIZENで撮影していた写真を1枚のコラージュにしたもの

”近くばっかり見ていたら上には進めない”

Elisa 私がinstagramで見つけるNY現地のイケてるキッズたちがみんなSHIZENに行っているんです。日系サロンに求められていることって、技術やサービスの部分が多いと思っていました。それがデザインやスタイルを求めてここに来てると知って、勝手に誇らしく思っています(笑)。

Junko 「アシスタントの子たちがクラブに行ったりして感度の高い子たちを集めてきてくれるの。そのキッ ズがまたキッズを呼んで、it girlsが集まってくれるんだよね。年齢や職業はみんな バラバラだけど、好きな服を着て、好きなことをして、自分自身のスタイルをもっている子たちね。 たしかに日系サロンは技術力に期待されがちだけど、そこからプラスαがないと世界では戦えない。日本イチになりたいわけでもNYイチになりたいわけでもなくて、世界イチを目指してるの。ライバルはサロンじゃなくて、セリーヌとかsupremeとか、ファッションの土台で戦えるようになりたいってみんな思ってるから。近くばかり見てたら上には進めないからね。遠い未来でもすごい先に憧れをもっていないと、なかなかそこには辿り着けない。」

Elisa williamsburgは私も最も好きなエリアなのですが、マンハッタンとは違う、ブルックリンらしさってなんだと思いますか。

Junko 「日本にいるときはNYってオシャレなひとだらけだと思ってたけど、来てみたら実際そんなことないでしょう?だけどwilliamsburgってまさに日本で思い描いていたNYだと思うの。歩いてるだけでオシャレな人だらけ。こういう場所に身を置かないと自分も磨かれない。だからボスもイーストビレッジからここにサロンを移したんだと思う。お客さんもスタイルのある人ばかりね。」

Elisa ここ最近のヘアやファッションの変化、傾向ってありますか?

Junko 「これまでのアメリカ人が求める女性像って、ロングでかきあげがセクシーっていう概念が強かったんだよね。でも最近は前髪をつくるひとも増えたし、コンサバティブから個性を求めるようになってきた。うちのお店だからそういうひとが集まるっていうのもあるんだと思うんだけど。自分がしたい髪型をもっと求めるようになったと思う。」

Elisa ミルボンの好きな商品はなんですか?

Junko 「新しいシリーズは全部すき。なんだろう、かゆいところに手が届くというか、欲しい質感にピンポイントに合わせたシリーズがそろっていて、これにはこれが良いですよってちゃんと言えるセレクショ ンだと思うの。だからこそ美容室専売の強さが活かせて、カウンセリングをしっかりした上でおすすめできるんだよね。今日、恵利沙ちゃんに使ったのは、ディフリッジングのシャンプーとトリートメント。ブロー前にリペアのアウトバストリートメントを使用して、スタイリング剤はウェットシャインジェルクリームの5番を使ったよ。ナチュラルなツヤ感、ぎらっとしてないしっとり感がでやすいの。日本のメーカーさんがこういうのつくると思わなかった!っていうライン。自然な香りだからアメリカ人にも人気があるの。今日は全体のトリムと前髪のカット、ツヤと束感をスタイリングで出したよ。」

>商品詳細はこちら

”自分が誇りに思える環境を自分で選ぶこと”

Elisa 最後に、今の環境から飛び出したいけど勇気が出なくて悩んでいる人たちに何かメッセージをいただけますか。

Junko やるかやらないかだと思う。それって実は勇気の話じゃない気がするんだよね。やらないことの方が我慢してるから、そっちの方が辛いと思うの。人間なんとかなるから、自分が楽しいか楽しくないかをちゃんと考えて、選択が2つあるなら自分が幸せでわくわくする方をちゃんと選んでいくべきだと思うんだよね。将来のこととか、周りの目とかじゃなくてね。

本当に自分がやりたいと思ってるから頑張れるし、やってみて嫌だったらやめれば良いんだしね。自分で 自分の環境を選んで生きてるからいつもその環境が大好きだし、自分が誇りに思える。失敗してもなんとかなるんだから、ね。自分が幸せかどうかで考えてみて。そういうひとがNYに多く集まっているんだと思うよ。」

左:Junko 右:Elisa

SHIZEN
57 N 6TH ST
(Between Whythe Ave & Kent Ave) Brooklyn NY 11249
347-529-6517

写真・執筆 : ベイカー恵利沙
編集 : ミネシンゴ

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