Get Up Kinshasa! / ゲットアップ・キンシャサ

たくましさとは、しなやかであること
―古海カナエ（MILBON AWARD大賞受賞者）

一生懸命に取り組んでさえいれば成功する、なんて思っていた頃がありました。けれど蓋を開けてみれば結果を残すのは飄々としている人、なんてことはざらにあります。もちろんそう『見えた』というだけで、実際には人それぞれ苦労を抱えながら生きているはずなのですが、なぜあの人たちは軽やかに見えたのでしょうか。

主人公のサミュエルは、学校に通うための靴代を工面しようと奮闘します。そして家族を助けるために、もっとお金が必要になり……。10才の私だったなら、大人にお金を借りたか、先生に頭を下げたか。そんなに多様な方法は思いつかないでしょう。サミュエルがひらめきを武器に生き抜いていく様を見ていると、幸せを掴むためには正面突破以外にもたくさんの道があると気づかされます。分け与えることでより多くのものを得る、それに気づいたのは大人になってしばらく経ってからで、いざというときに自分の人生で応用するのも難しいのに、サミュエルは柔軟ですね。次はどんな風に問題を解決するのだろうとわくわくさせてくれます。

硬い壁に正面からぶつかるのではなく、やわらかな発想で飛び越えていく。たくましさとは、しなやかであることなのですね。