MYDEAR / マイディア

たとえ感じられなくても、美しいものを分け与えたい
―古海カナエ（MILBON AWARD大賞受賞者）

「MYDEAR」の中にいる男性と楽し気に話すガウル。色眼鏡で見られることなく、自分自身も飾らずに接することのできる関係はガウルにとって心地良いものだったのでしょう。『話さなくても感じる』、そんなふうに「MYDEAR」の男性は言います。はたしてAIにそんなことが出来るのでしょうか？

誰かと仲を深めていくとき、私たちはどんなふうにするでしょう。相手のことを知りたくて色々尋ねてみて、自分のことも知ってもらって、お互いに影響し合う。ガウルもまた同じように「MYDEAR」の彼と交流していきます。そして他人が言うことを聞きとるために一生懸命集中していたガウルが、今度はただ彼のために美しいものを見せてあげようとしている。何かをしてもらうよりも、何かしてあげたい、に変わっていきます。

AIが『感じる』ことができるかは私には分かりません。そして人間相手であっても、自分と一緒にいないときに相手が何をしているのか、どう感じているかは、その人の言っていることを信じるしかない。そして自分の中に生まれた温かい気持ちを分け与えたいと思える。相手がAIであっても、人であっても、そうして芽生えたものは愛に思えます。ガウルにとって「MYDEAR」の彼が、本当だと信じられる誰かだったのですね。