Sweet Rabbit / スウィート・ラビット

嫌な音ほど大きく聞こえるウサギの耳
―古海カナエ（MILBON AWARD大賞受賞者）

ウサギの耳が生えた、なんて大事件が起きているのに、誰も彼もジャネットを心配するどころか自分の話ばかり。本人には大きな変化でも他人にとっては大した出来事ではない、とはよく言われるけれど、現実ではいつも誰かの噂話が蔓延っていて『私も話のタネにされているんじゃ……』、なんて不安になることもあります。なぜ愛情の大きさとは相反して、こちらを傷つける人の声にかぎって大きく聞こえるのでしょう。

本当はありのままの自分を愛してあげたいけれど、それができるなら苦労はしませんよね。だから誰かに受け止めてほしくて、勇気を出して心の内を晒したのに、理解されないときがある。すると、右往左往するジャネットのように、やっぱり私は誰にも受け入れられないんだ、なんて絶望的な気分になってしまって。でも無関心な人を振り向かせるよりも、自分が気に入らない部分も愛してくれる人を大切にすれば良いのですよね。私がいつも間違ってしまう順番をジャネットが思い出させてくれました。

本人は無自覚なのでしょうか、お菓子を齧る姿がウサギそのもので可愛くて。大きなお耳以外のウサギらしさにも注目してご覧ください。