インプレアの魅力をさらに深堀するインタビューシリーズ。今回はインプレアの容器デザインを担当された、コーセー商品デザイン部 山本香里さんに制作秘話をお伺いしました。
編集担当※以下【編集】
「まず、“美容室専売化粧品”の容器デザインを担当すると決まったとき、どのように感じられましたか?」
山本香里さん ※以下【山本】
「とてもやりがいがあるお話をいただき嬉しかったです。新しいことに挑戦できるチャンスだと思いました。
美容室は、美容師さんの技術により、お客さまの”なりたい印象”が叶う場所です。そして最初にうかがった企画内容が、お客さまの”なりたい肌印象”に合わせてアイテムを選べるシリーズということでした。私の頭の中で、美容室という販売チャネルと企画内容がすんなりと結びつくことが出来たので、いいものが創れる予感がありました。」
【編集】
「美容室ならではの商品ということで、デザイン面で特に工夫したことはありますか?」
【山本】
「“美容室ならでは”を常に意識し、 “シンプルなのに何故か気になる”デザインを狙いました。販売される場所や人によりデザインに求められるものは異なります。例えば、ドラッグストアなら幅広い層のお客さまがいらっしゃるので、“好かれるデザイン”であることが一番大切です。専門店では販売員さんがお客様にお勧めする形になるので、“私のために選んでくれた”という特別感あるデザインが求められます。インプレアは、美のプロフェッショナルである美容師さんに扱っていただく商品です。一見“シンプルなのに何故か気になる”、ほんの少しクセを残すことで、感性が鋭い美容師さんたちに気を止めていただける商品になるのではと思いました。 お客さま目線だと、美容室に化粧品があるなんて想像もしていないでしょうから、一瞬見たときに「なんだこれは!」と思っていただいて、置いてあるだけで手に取りたくなるようなものが美容室専売品として最適だと思いました。そんな思いから、思わず触りたくなるような、ちょっとクセのあるデザインにしています。」
【編集】
「なるほど、確かに印象に残る、不思議な形ですね。“印象”というとすごく抽象的ですが、コンセプトワードからどのようにこの形に落とし込んだのですか?」
【山本】
「印象は変化するものという考えから、“見る角度によって印象が変化する容器”を創り出すことが、最もコンセプチュアルなデザインになると判断しました。ローションの容器は上から見ると三角形、下から見ると円形です。上下はよくあるシンプルな形状ですが、側面を図面上では描き表わせない三次曲面にすることで“印象の変化”を容器に落とし込みました。ブランドコンセプトにしっかりと応えたデザインでありながら、独自性が高いフォルムの為、日本包装技術協会主催のコンペで“化粧品包装部門賞”をいただくこともできました。この特徴的な形は、指掛かりが良く、開閉しやすい機能性が高い容器にもなっています。」
【編集】
「確かに、シンプルですがキャップの変わった形が、思わず触りたくなる感じですよね。ロゴもヘアの商品ではあまり使わない細字体ですが、これも何か意図があるのですか?」
【山本】
「感性を刺激するようなモダンなロゴ、すっとしたような凛としたロゴ、現代女性の強さを感じるけど、艶があるロゴ…といった風に美容師さんに気に入っていただけるよういろいろな角度から考え、パッケージとの相性やグラフィックになったときの見え方など総合的に判断し、このデザインになりました。 “i”だけは初めから小文字を使いたいと思っていました。”i”の点は化粧品のみずみずしさを感じ、雫にも見えます。また小文字にすることで抜け感がプラスされたり、可能性を感じていました。最終的にバランスのいいロゴができたと思っています。」
【編集】
「なるほど、容器にはたくさん工夫が込められているのですね。化粧箱は、今回真っ白な中にビビットカラーのアクセントをつけられていますよね。」
【山本】
「箱も“印象”を表現することにこだわりました。容器では美容室でも馴染む“清潔感ある白”を採用したので、化粧箱も白を基調にしました。アイテムの差別化を図るために、色やラインを入れたりする手法を取るのですが、それだけでは“印象”というコンセプトに応えきれていないと思いました。そこでフラップ(箱の内側に折込むふたの部分)に、なりたい肌印象のイメージカラーをつけ、紙のたわみからほんのりと反射で色を感じる箱にしました。そんな箱の印象も楽しんでいただけたら嬉しいです。」
【編集】
「美容室ならではのこだわりが詰まったデザインであることが良くわかりました。山本さん、ありがとうございました!」
以上、インプレア デザイナーインタビューでした!