Unibrow / 眉毛

全部嫌い、を紐解けば一つの好きに出会うかもしれない
―古海カナエ（MILBON AWARD大賞受賞者）

レイラの一本眉は、彼女にとってイランを色濃く感じる部分なのですね。その眉毛を受け入れられないがゆえに、イランの全部を否定したくなってしまったのかもしれません。
けれどサハルとの出会いがレイラの意識を変えていきます。眉毛を整えたら、それ以外の部分が見えるようになったのです。サハルの腕輪、イスファハンの街など、今まで目に入らなかった美しい部分。

私は物事にひとつ許容できないことがあると全部が嫌になってしまうことがあって、そのたびに物語から教えられてハッとします。ここがダメだからもう無理、ここが好きだから丸ごと良いに決まってる、なんて考えにとらわれなくてもいいということ。その考え方が自分を必要以上に狭めて、傷付けてしまうことがあるから。油断するとすぐに忘れてしまいそうになるけれど、いつもこうして作品が思い出させてくれます。

『眉毛はアートなのよ』というサハル。眉毛から受ける印象って色々ですよね。強く見えたり、優しく見えたり。彼女の言う通り眉毛は自己表現のひとつにもなりえます。いつか『これが私らしい形だ！』、と思えるような眉毛を見つけたレイラにも会ってみたいですね。