Madeleine / マデレーヌ

お互いが旅の最高のパートナー
―古海カナエ（MILBON AWARD大賞受賞者）

67も歳が離れているというからには先生と生徒のような関係性なのかと思いきや、マデレーヌとラケルはとても自然体で、二人の間には笑いが溢れていました。それでも彼女たちの過ごした年月の差は、目指す場所の違いとなってお互いの前に表れます。
海を見たいと願うラケルと、あまり興味がなさそうなマデレーヌ。マデレーヌは遥か遠くの夢を追いかけるよりも、目の前で起きている出来事を噛みしめることの方が大事だと、そうやって歩んだ道が海に繋がっていると、人生をもって知っているのですね。

けれど、なんでも分かっているように思えるマデレーヌも、カメラの扱い方や海での泳ぎ方は知りません。100歳を超えたマデレーヌでも知らない世界に連れて行ってくれるラケル。ラケルが目的地に着けるように、生きるコツを教えてくれるマデレーヌ。お互いが旅の最高のパートナーですよね。

ラケルの歳に近い私は、曖昧な将来に不安を抱えることもしばしば。けれどマデレーヌのカメラに映るラケルは、光の射す方へと迷いなく進む。その先は見えないけれど、マデレーヌの目には眩しく、美しく見えています。ならば数年後、数十年後の人生も、もしかしたら私が思うほど悪くないのかもしれません。