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ブリーチケア難民に捧ぐ。難題に挑んだエルジューダ渾身の新製品
ここ数年、見かけることが増えたブリーチスタイル。
カラーリングを楽しむだけでなく、透明感をもたせたい、遊び心がほしいなど、さまざまな理由でチャレンジする人が増えている。ハイライトやインナーカラーなど、部分的に取り入れる人も多い。
一方、ブリーチは髪に負荷がかかることから日頃のケアが難しい。実際、指通りが悪くなる、ギシギシする、洗い流さないトリートメント(=アウトバス)の選び方がわからないなど、美容師や美容メーカーに多くの声が寄せられているのも事実だ。
そこで、ブリーチに特化したアウトバス製品として今回発売された新商品が「エルジューダ ブリーチケア セラム」と「エルジューダ ブリーチケア ジェルセラム」。
“アウトバスだけでブリーチをケアするのは困難” といった暗黙の空気が漂うなか、難題にチャレンジしたミルボン。開発の苦労秘話と、その効果の秘密について、研究開発員のN.M.さんとT.O.さんに伺った。
“もったいないブリーチヘア” を無くしたい
2010年代後半まで、ブリーチは一部の人のためのものだったように思う。
例えばアパレルや美容、芸能関係。個性表現やスタイルが仕事に直結する人、職業におけるヘアスタイルの制限がない人、学生。社会人になってからブリーチをする人は、そう多くなかった。
しかし近年、いわゆる一般企業に勤める人も含めて、幅広い職業や年齢の人がブリーチヘアを楽しんでいる。
N.M.さん 僕らは仕事でサロン(美容室)に出向いたりお話を伺ったりすることが多いのですが、ブリーチをされる人が増えているとよく聞きます。それに、業界の情報として聞くだけでなく、僕も実際に街中や電車でもインナーカラーやハイライトをしている人はよく見かけますね。
特定の業界や世代での流行ではなく、一般に浸透したといえそうだ。
2020年以降はコロナ禍の影響もあるといわれている。在宅ワークになったり出社の機会が減ったりして、これまでヘアカラーを楽しめなかった職業の方でもブリーチに挑戦しやすくなっているようだ。
美容業界の技術やカラー剤の質も格段に上がり、ブリーチ=髪が傷むというイメージも軽減されてきている。
流行や選択肢の多様化に加えて、技術も向上。ブリーチのハードルは、ここ数年でぐんと下がっているのだ。
しかし、楽しむ人は増えたものの、ケアの部分ではまだまだ課題が多いという。
T.O.さん ブリーチ毛ならではの悩みがあるんです。広がってまとまらない、濡れているとギシギシして絡まる、パサついてツヤが感じられない、といったように、施術直後だけでなく日頃のケアがきちんとできていないと、扱いづらくスタイルがキマらない髪になってしまいます。
昔ほど傷みづらくなったとはいえ、普通のカラーに比べるとダメージは強い。しっかり日々のケアをしていないと、せっかくの洗練されたブリーチヘアも残念な印象になってしまうのだ。
T.O.さん ブリーチで綺麗なカラーが叶っているのに、ダメージによって広がってまとまらなくなり、シルエットが崩れてしまっている人がすごく多いんです。透明感のあるカラーを求めてブリーチをしても、ダメージがケアできていないとスタイルが崩れてせっかくのブリーチデザインがキレイに見えなくなってしまう。すごくもったいないですよね。
しなやかな動きとまとまりを与える新しいアウトバス
ブリーチヘアの人気に伴い、ブリーチヘアをケアするアウトバスへの期待も高まるようになってきた。
N.M.さん ブリーチデザインを得意とされる美容師さんとタッグを組んで研究開発をおこないました。『ブリーチヘアはとても繊細で、アウトバス選びはとても難しい。誰でもキレイに仕上げられるアイテムの開発は難しいんじゃない?』と言われたんです……。それくらい、ブリーチ特化のアウトバスは業界でも難しいとされてきました。
美容師泣かせでもあるブリーチによるヘアスタイルの崩れ。その正体は、“ブリーチうねり” にあるといいます。
N.M.さん 髪には油分が存在しているのですが、ブリーチによって油分が減り、水っぽい状態になります。特に風呂上がりの濡れた髪は、乾いているときよりも多く水を吸っている状態。濡れている=水っぽい=毛髪同士がくっついてしまうんですよね。このままではギシギシと指通りが悪く引っ掛かってしまいます。
では、アウトバスを髪に馴染ませてほどきながら乾かせばいいのではないか。そう思うところだが、ブリーチ毛にはアウトバスが馴染みにくい。水と油が混ざらないように、ダメージを受けて水っぽくなった髪には油がなじみにくいのだ。
N.M.さん ダメージを受けて指通りが悪いうえに、アウトバスが馴染みにくい。そうなると、強引に櫛を通したり、ひっかかる髪を無理やり引っ張ったりしながら髪を乾かすことになります。その行為が、ブリーチうねりを引き起こすんです。
髪の一本一本にうねりが発生し、広がってまとまらなくなる。せっかく綺麗な髪色が実現していてもスタイルがきまらない、どこか野暮ったいブリーチヘアになってしまうのだ。
N.M.さん まずは濡れたブリーチ毛にアウトバスを馴染ませないといけない。それが今回の研究のひとつのポイントでした。オイル化グリセリンは、「保湿性が高く水のように働く性質」と、「油になじみやすい性質」の2つの異なる性質をもつ成分で、濡れたブリーチ毛に油をなじませやすくすることができます。
オイル化グリセリンを配合することでアウトバスオイルが毛髪に均一にコーティングされ、指通りよく、髪の毛を引っ張らずに乾かすことができる。物理的なダメージを軽減し、ブリーチヘアのシルエットを綺麗にまとめることに成功したのだった。
自分の髪質に合った選びかた
濡れたブリーチ毛によく馴染み、指通りのいい状態で乾かせるようにすることでブリーチうねりを抑える。これはブリーチケアセラム、ジェルセラムに共通する嬉しい効果。
他にも、ダメージによってタンパク質が減少した髪にしっかり吸着する特殊なケラチン『CMADK※2』や、『バオバブオイル※3』などを使用。ケア性にもこだわり、指通りのいいブリーチヘアを実現してくれる。
※2 カルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチン(羊毛)[毛髪補修成分]
※3 バオバブ種子油[毛髪保護成分]
今回発売されたブリーチケアセラム、ジェルセラムから、自分に合う製品をどう選べばいいのか聞いてみた。
■軟毛さんには……
T.O.さん 軟毛さんには『ブリーチケア セラム』がおすすめです。軟毛さんのブリーチ毛って、髪の表面のキューティクルが浮いてふわふわと広がるうえ、絡まりやすいんですよ。しっとり系のオイルを使うとべたついてしまいがちですが、サラッとしたオイルだとまとまりにくい。ブリーチケアセラムは、サラッとしているのにちゃんとまとまるオイルに仕上げています。
キューティクルの浮きを抑えつつ、サラサラな指通りを叶えるために、粘性がちがう2種類のオイルを配合。ドライヤーで熱をあてることで、それぞれのオイル※4が2層に分かれ、さらさらとまとまりの両立を実現している。
※4ジメチコノール、パルミチン酸エチルヘキシル[毛髪保護成分]
■普通毛〜硬毛さんには……
N.M.さん 普通毛〜硬毛の人は『ブリーチケア ジェルセラム』がおすすめです。アウトバスって、大きくオイルとミルクにタイプが分かれていて。オイルは均一に塗布できるとサラサラな指通りを叶えられますが、やわらかさを与えにくい。一方ミルクタイプは、仕上がりのやわらかさは与えやすいですが、サラサラな指通りは叶えにくい。元々の髪の硬さが気になるブリーチ毛には、オイルの得意な「サラサラな指通り」とミルクの得意な「やわらかな質感」、双方の良さを両立させる必要がありました。
ポイントとなったのは、 “カチオン性” 成分※5。カチオン性成分はプラスの電気を帯びているため、毛髪のダメージ部分に作用し髪を柔らかくしてくれる効果がある。
※5ステアルトリモニウムクロリド、ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ステアラミドプロピルジメチルアミン[毛髪柔軟成分]
通常、カチオン性の成分は水を含むミルクタイプなどの製剤にしか配合しにくいが、なんとかオイルの良さも共存させたい。そこでオイルとミルクの良いとこどりを叶えた剤形がジェルタイプだった。
N.M.さん 一緒に開発をした美容師さんには当初、『硬毛の人のブリーチケアは特に、アウトバスだけで対応するのは難しいと思う。簡単に実現できると思わないほうがいい』と言われたんです。オイルとミルクのメリットを共存させた今回のジェルセラムは、これまで難しかったことを実現できたと思っています。その美容師さんもとても喜んで使ってくださいました。
ジェルセラムの開発を担当したN.M.さんは、ミルボンに入社して12年、一番辛い研究だったという。研究結果の資料は、タウンページの2倍ほどの厚さがあった(スムーズに進んだ研究と比べて約5倍だそう)
N.M.さん 濡れたときのブリーチ毛は少し引っ張っただけでうねりやすいので、あまり刺激しないように優しくタオルドライしてください。目安として、ミディアムヘアの場合はセラムは2プッシュ、ジェルセラムはパール2個分。全体に馴染ませてから、中間〜毛先のキューティクル部分と、後頭部の内側にもしっかり馴染ませてあげてください。
ブリーチケア セラム、ジェルセラム。
ブリーチのプロを認めさせた2つの製品の仕上がりに、研究開発に携わったふたりは誇らしげ。「多くの人に製品を使って実感してほしい」と語ってくれた。
自己表現のひとつであるヘアスタイル。
まだまだ気軽に人と会いづらい状況は続くが、オンラインでのコミュニケーションでも、まず視界に入ってくるポイントだろう。
こんな時代だからこそ、いや、時代なんて気にせずに冒険すればいい。もっと楽しめばいい。
エルジューダが新しく生み出したのは、個性表現を楽しみたい人の心強い味方だ。