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研究中のうっかりミスが、ダメージの原因を突き止めた。 “milbon”プレミアムポジション・棒状空洞化対策の進化

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“milbon”(グローバルミルボン)

20ヵ国以上の女性たちの髪をサンプリングしてナノレベルで解析し、世界の毛髪ダメージの核心を突き詰めて生まれた、ミルボンのグローバルヘアケアブランドです。

そんな“milbon”から新しく誕生したのが「“milbon”プレミアムポジション」。

今回は新シリーズに応用されている技術について、毛髪研究を担当された武田基希さんに詳しくお話を伺いました。

ことの始まりは、「樹脂」…?

武田基希
入社4年目。生産本部 生産技術部 品質管理グループ。3年目までは開発本部 研究開発部で毛髪研究を担当。

ミルボンがダメージの可視化に力を入れる理由は?

ーーまず、今回の研究のポイントを教えてください。

今回の研究は、「ダメージの視覚化」がキーワードになっています。
髪の毛って、カラーやパーマを繰り返したり、加齢でダメージが加わったりすると、パサついてきたり、毛先がカクカクとしてしまったりする。
でも、触っただけでは本当の原因はわかりませんよね。ミルボンでは、そんなダメージの視覚化に力を注いできました。ダメージの状態を見るのは、適切な対処をするため。

たとえば、転んだときに痛みがあったとしたら、捻挫しているのか、筋が伸びているのか、骨が折れたのか、病院でレントゲンを撮って調べてから処置をしますよね。

ーーたしかに、原因がわからないと間違った対処をしてしまったりするかも。

髪の毛も同じように、ダメージの状態を見て、理解をしてからケアをする。視覚化はケアの一環のようなものだと考えています。

これまでも、日本最先端の放射光施設“SPring-8”でのX線CTスキャンを使って髪の毛のダメージの視覚化は行ってきました。その精度がより進化したのが、今回の研究成果です。

きっかけは「樹脂」。CTスキャンの精度を上げたら、髪の毛の課題が見えた。

ーーX線CTスキャンの精度が上がった……つまり、より高精度な機械が誕生したということですか?

それが違うんですよ。
たしかに、日本最先端の施設である”SPring-8”の機械や装置は日々進化を続けています。しかし、CTスキャンの精度向上のヒントはもっと別のところにあったんです。
事の発端は、スキャンする髪の毛のサンプルに、僕が間違えて「樹脂」を付けてしまったことで……

ーー樹脂!?

CTスキャン測定では、毛髪サンプルを固定する接着剤として樹脂を使っていたんですけど、たまたま本来付けてはいけないところに付けてしまったんです。

ただ、それに気付かずに測定をしたら、めちゃくちゃ鮮明な画が撮れた。それをきっかけに、どのような樹脂が良いのか、どう髪の毛に付ければいいのか、研究を始めました。本来髪の毛の「ありのままの姿」を撮るものなので、髪の毛に何かを付けるというのはタブーとされていたんですけど、それによって精度が向上したんですよね……

ーーそんなことってあります……? (笑)てっきりスキャンに使う機械自体の機能が向上したのかと思っていました。

普通はそう思いますよね。社内では、ファミコンがいきなりPS5までグレードアップしたと騒がれたほど、鮮明度が向上しました。

ーー鮮明度が全然違う! これが「樹脂」のおかげとは信じがたい。ところで、なぜ樹脂を使うことで鮮明な画が撮れるようになったんですか?

調べてみると、髪の毛は測定中にミクロレベルで動いてしまっていることがわかりました。
それによるブレが精度向上を妨げていたようなんです。写真がボンヤリとしているのは、ブレているせい。それを樹脂で固定することで、はっきりとした写真が撮れるようになったんです。
衝撃でした。
日本最先端の測定装置によって最大の精度を引き出せていると思っていたので、そもそも精度が向上するという発想が生まれにくい状況だったものですから……!

ダメージを受けた髪はどうなるの? 棒状空洞と微細空洞

ーーダメージがより鮮明に写るようになってからは、どんな発見があったんですか?

以前の技術で判明していたのが、「棒状空洞」でした。
ダメージを受けた髪の毛をよく見ると、棒状に細長い空洞が空いているのがわかりました。
そこで、この空洞をうめて、ダメージをなかったことにしてしまうという発想が生まれ、「SSVRシルク*1」という補修成分を採用することになったのが始まりです。
*1 イソステアロイル加水分解シルク[毛髪補修成分]

そこから、今回のCTスキャンの精度向上により、また新たに発見したものがあります。

それが、「微細空洞」なのです。

ーー微細空洞?

黄色=棒状空洞、ピンク=微細空洞

黄色いものが棒状空洞、ピンクのものが微細空洞です。
研究を進めていくと、微細空洞は一直線に発生したのち、ダメージが進行するとともに連結して、最終的には棒状空洞に成長する可能性があることがわかりました。

ーーこの細かい空洞がくっついて大きくなるんですか!?

すでにある棒状空洞のそばにもびっちり微細空洞があったりするので、これらがすべてつながると、最悪髪の毛が内側からピリッと切れてしまいます。
微細空洞というのは、いわば切手やチケットなどについている切り取り線のミシン目のようなもの。

つまり、微細空洞は将来のダメージリスクになるんです!

ーー恐ろしすぎる……なんとかしてください。

それがわかってしまったからには、ケアしてうめてあげたい。
しかし、CTスキャンの精度の向上によって、これまで使っていたSSVRシルクでさえ最後まで空洞をうめきれていないことがわかりました。
そのため、新たに成分を探索することになりました。キーワードは「髪なじみの良さ」です。

業界ではじめて「髪なじみの良さ」を数値化。微細空洞をうめて、ダメージレスな強い髪へ

ーー「なじむ」って難しいですね。「この成分、髪の毛になじむわぁ〜」って人によって感覚が違うというか。

そうそう。だからこそ今回ミルボンは、関西大学と協働で、「髪なじみの良さ」を数値化して評価する手法を業界で初めて確立しました。

具体的には「HSP法」という考え方を使います。
たとえば、豚の角煮を作るとしましょう。鍋に水を張って豚肉を入れると、豚肉から出た脂が水に浮いてきますよね。これは、水と脂がなじみにくいから。一方で、お酒に含まれるアルコールは水になじみやすいから分離したりはしません。この、ものの溶けやすさのようなものを数値化して評価する手法が「HSP法」です。

あらゆる成分と毛髪のなじみやすさを「HSP法」を使って研究しました。その結果、見つけたのが「SSVRコラーゲン*2」。コラーゲンを細かくオイル化してなじみやすくしたものです。

*2 イソステアロイル加水分解コラーゲン[毛髪補修成分]

このSSVRコラーゲンと、従来から使っているSSVRシルクを合わせた「SSVRコンプレックス」が、棒状空洞から微細空洞までしっかりうめてくれます。

ーー空洞がほとんど目立たない。組み合わせることで、棒状空洞と微細空洞のどちらもばっちりカバーしてくれるということですね!

「SSVRシルク」「SSVRコラーゲン」を組み合わせて、髪の毛の空洞をここまでうめていますよ、と初めて実証できたときは嬉しかったですね。

微細空洞によるミシン目をうめていくことで、健康な状態をキープし、将来的にダメージを受けにくい髪の毛を目指します。髪なじみの良さが科学的に実証された成分なので、感覚的にも髪なじみの良さを実感していただけるかな、と。ぜひ実際に使ってみていただきたいですね!

そんな武田さんの発見から生まれた技術を取り入れて生まれた「“milbon”プレミアムポジション」。

従来のケアから一歩踏み込み、小さなダメージの補修にもこだわり抜いた逸品です。武田さんによると、髪の毛に微細空洞がない人はほとんどいないそう。

髪の毛のパサつきや切れ毛が気になる方、未来の髪の毛をダメージから守りたい方はぜひチェックしてみてください!

取材・執筆 : ゆぴ 写真:ミネシンゴ

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