HAIR DESIGNER

夢の実現をデザインで応援してくれた美容師。

「ヘアは主役だけど、主役じゃない。毎日の『幸せ』を支えるもの」

私たちは、たったひとりの美容師に毎日のキレイを託す。日本の美容師数、約50万人と飽和状態の中、ひとりの美容師を選び続ける、その「理由」とは何か。

福岡県のサロン激戦区・博多大名にある「Pia」で出会ったのは、東京で3年間の修業後、地元・福岡に戻り、現在はトップスタイリストとしてお店を支えるミツさんと、そのお客さま・マイさん。クールの中に親しみやすさが潜む、おなじ空気感を持つ二人から話を聞くと、そこには深い絆が浮かんできた。

「ミツさんは、いつどのタイミングで見られても可愛いようにと、家でのスタイリングやケアまで気にかけてくれる」

ーまずはお二人の出会いから聞かせてください。

マイ 最初は、友人の紹介でした。

ミツ マイさんが17~18歳くらいの頃からなので、もう3年近くになりますね。

ー3年!長いですね。今日の私服のシンクロ具合からも仲の良さが見えてくるのですが、最初から感性も似ていたんですか?

マイ ミツさんとは初対面のときから、共通の知り合いが多かったこともあり、とにかく話しが弾みましたね。仕上がりも大満足だし、髪の毛のこともきちんと教えてくれるしで「他の美容師さんとはなんかちがう」とすぐに感じました。

ー「髪の毛のことを教えてくれる」とは?

マイ はい。毎回、サロン帰りの「可愛い」を自分でも再現できるようにと、家でのスタイリングからケアの仕方まで細かく教えてくれるんです。だから次回のメンテナンスまで可愛いが持続するんですよね。

ミツ せっかくサロンで可愛く仕上げても、それを家で再現できないのは悲しいじゃないですか。だから「いつどのタイミングで見られても可愛い」スタイル作りを意識してお客様が家で実際に扱えるようにサポートしています。


マイ 本当にその通りで、いつの間にか家でのアレンジスキルも上がったような気がしています。

ー今の髪型も、サイドのカットすごく可愛いですよね。カラーも外国人風で素敵。

マイ (サイドの髪を触りながら、嬉しそうに)これは結んだとき、おくれ毛が出るようにしてもらいました。カラーは1か月半くらい経ってるから少し褪色しちゃってるんですけど、落ちても可愛い色ですよね。

ミツ マイさんの髪質は褪色するとオレンジに傾きやすいので、色落ちの過程まで楽しめるよう、少し強めにブルーやオリーブをいれてオレンジ味を徹底的に消しています。

ー周囲からの髪型の評判は?

マイ 周りの評判は、いつも「すっごくいい」です! いま働いているショップのお客さんにサロンを聞かれることもあって、いつも自信をもって薦めています。



「髪型だけじゃなくお客様の『なりたい姿』を知った上で、どんなスタイルなら魅力を一番引き出せるのかを考えています」

ー3年間の中で、印象的なエピソードがあれば聞かせてください。

マイ いまアパレルの販売員をしてるんですけど、実は今の会社の面接を受けるとき、ミツさんに相談していたんです。

ミツ マイさんの担当をし始めたころですね。偶然、ぼくの友人がそのブランドで店長をしていて知ってることも多かったので、「なるほど、じゃあ一緒に頑張ろう!」と。自分の知っている情報をもとにどんなスタイルならマイさんの魅力を一番引きだせるかと考え、一緒に決めていきました。

そうやって一生懸命努力している姿を近くで見ていたからこそ、「受かりました!」と言いに来てくれたときは本当に、自分のこと以上に嬉しかったですね。

ー二人三脚で夢を叶えたと。家族みたいですね。

「ミツさんは、『私らしさ』を誰よりも知っている。それを誰よりも上手に引き出してくれる美容師」

ーアパレルだと髪型やメイクも厳しく指定が?

マイ 今の会社ではシーズン毎に髪型もメイクも指定があるので、「Pia」に来るときは毎回それをもとに相談しています。

ートレンドに合わせて変えなきゃいけないものも多いと思いますが、ここは変えたくない!というこだわりは?

マイ 重めの毛先とオン眉ですね。指定はあるものの、それに捉われすぎず、私らしさもちゃんと出していきたくて。
ミツさんが提案してくれるスタイルは毎回、トレンドと私らしさを上手に掛け合わせたものばかり。私のこだわりもなりたい姿も理解してくれて、それを引き出してくれるから、安心して任せられるんです。だから、これからもミツさんに頼みたいですね。

ミツ 次シーズンのトレンドをはやめに教えてもらえるので、相乗効果というか、良い関係ですよね。マイさんはおしゃれだから、ダサいと思われないようにぼくも頑張らなくちゃって思えるんです。

「お客様ひとりひとりを誰よりも理解した上でスタイルの提案をしたい。髪は人のモチベーションを左右するし、人を支えるものだから」

ーミツさんの一番得意なメニューを教えてください。

ミツ 前髪のカットです。前髪って、長さも幅も軽さも広さも、いろんなバランスが組み合わさって印象をつくるものなので、1ミリ単位でも雰囲気が変わるパーツなんです。だから、お客さまとの信頼関係がないと任せてもらえないところだと思うんですね。カウンセリングを通して、お客さまのことをしっかり理解したうえで、1ミリ単位の調整をして必ず似合う前髪をつくりたいです。

ー奥深いですね。お客さまと過ごす時間で意識していることって何ですか?

ミツ カットもカラーも、正直僕よりもうまい人はたくさんいると思っていて。だから、それ以外のプラスアルファをどうお客さまに感じてもらうか、を意識しています。

ーなるほど。約50万人と大勢の美容師がいる中で、3年間継続して任せるってなかなかできないことですよね。それこそ、ミツさんの言う「プラスアルファ」の部分をマイさんが感じとっているからだと思うのですが。

マイ そうですね。一番大きいのは親しみやすさと居心地の良さです。

ミツ まさにそれをいつも意識しています。僕はひとりひとりのお客さまと長く付き合っていきたいので、しっかりコミュニケーションをとってお客さまのことを誰よりも深く知って、知った上でいろいろ提案したい。

人生において、ヘアって主役だけど主役じゃないんです。モチベーションを左右する大きな存在ではあるんですけど、あくまでその人が毎日を幸せに過ごせるように支えるためのものだと思っていて。

だから、この人を支えるスタイルをつくるには何が必要かな、と常に考えていますし、サロンに来ることで幸せになれたり、パワーチャージして「明日からまた頑張ろう」と思ってもらえるような、そんな時間を提供し続けたいです。

ー今日はお二人の関係から、ミツさんの信念が見えてきました。ありがとうございました。

二人 ありがとうございました。

ミツさんのサポートで「なりたい自分」をとことん突き詰め、それに着実に近づくマイさん。友人のようでもあり、家族のようでもある、そんな二人の関係を探って見えてきたのは、3年という年月が築き上げた揺るがない信頼だった。

信頼できる美容師との出会いは、新たなヘアスアイルから新たな自分との出会いにつながる。そして時に人生の起点になる扉を開けるのかもしれない。

写真:ミネシンゴ
取材・執筆:宮田愛子

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