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アメリカで「ヘッドスパ」を浸透させたい。日本人美容師からの新たな挑戦|NYサロンレポート

HAIR DESIGNER | 2019.07.02

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旅行で初めて来たときに感じた「歩いているだけで気持ちが高鳴るエナジー」に溢れた街。当時、それは旅行中だから特別に感じることなのかなと思っていたけれど、住み始めて7ヶ月経った今もそのときめきは毎日変わらない。
この連載は、モデルのベイカー恵利沙がNYで見つけたオシャレサロンに訪問して、実際にサロンサービスを受けてみた体験記。
第3回目は高級デパートやホテルなどが集まるエリアにある「Pierre Michel Salon」で働くSakuma Yoshieさんにインタビュー。NYでも有数のハイエンドサロンで縮毛矯正、トリートメントのスペシャリストとして活躍するほか、ミルボンUSAの講師としてアメリカ全土での講習を行う。その技術だけでなく、強い意志とチャーミングな話しぶりが多くの人を魅了するのだと、身を持って体験した。

サロンで大人気だというミルボンのヘッドスパの施術の体験からはじまった今回のインタビュー。お話を聞きながら施術を受けなくては、と思いつつ、ついつい黙り込んでしまいそうになりそうなほど気持ちの良いヘッドスパ。眠たい目をこすりながら取材が始まった。

Yoshie 地肌まで洗えてない方が実は多いんですよね。みんなお肌は念入りにケアするのに、スカルプケアをしっかりする方は少ない。肌とスカルプは繋がっているのにね。

ベイカー恵利沙(以下Elisa) どんな方がヘッドスパしにいらっしゃるんですか?

Yoshie 1週間に1回来る方もいれば、1ヶ月に1回カラーの時にする方もいますよ。マッサージを受ける感覚で、ヘッドスパだけ受けに来る方もいます。日本で頭の腱膜にアプローチする方法も習ってきたので、今後さらにアップグレードする予定!

Elisa ヘッドスパをはじめて受ける方のリアクションはどうですか?

Yoshie 地肌からごっそり汚れが抜けていくような感覚は他にはないと思うので、みなさん感動されていきます。肩も首も軽くなるし、香りも良くてとても贅沢な時間ですよね。

Elisa すっかりNY馴染んでいますが、よしえさんは、いつNYにいらしたんですか?

Yoshie 2001年です。「MOMOTARO」というサロンに13年いて、いまここが5年目です。19歳から美容師を始めて、24歳で日本を出ました。小学校の卒業文集に、NYに行くって書いてたの! すごいでしょう。自分でもびっくりしたんだけれど。すっかり忘れてて、美容師になってから思い出したの。
もともと海外に行って働きたいと思っていたから、日本でまずは英語を勉強しようと思って横田基地のサロンで働きながら英語の勉強したんです。その当時はインターネットがなくて、NYで働ける美容室を本で探していました。何十軒もメールして、「MOMOTARO」と「すみこサロン」の2軒が返事をくれたんです。
日本の朝6時に「MOMOTARO」の社長から電話が来て、今だったら雇ってあげると言われたから、その電話をもらった1週間後にNYに向かいました。もう17年経ちましたね。

Elisa すごい行動力ですね! まさにNYにいるひとのストーリー。でも、どうしてNYだったのでしょうか?

Yoshie 海外の音楽も小さいときから大好きで、憧れてたんですよね。1年で帰るつもりで来たけど、結局2007年まで一度も帰らなかったの。きっとやりがいがあるのが合ってたんですよね。日本の給料制が納得できなくて、アメリカは厳しい代わりに頑張った分入ってくるでしょう。仕事がないと給料もない完全コミッション制だけど、それが良かったんだよね。年齢も関係ないし。うちはいま80歳の美容師もいるんですよ!

Elisa 来たときの苦労は何かありましたか?

Yoshie それね、考えたんですけど、思いつく苦労がないの。大変なことはもちろん沢山あるんだけど、それを苦労かと言われるとそんなことないんだよね。「郷に入れば郷に従う」しかないし、合理的なアメリカの社会は合ってたんだと思うんです。誰かがやってくれると思っても何もやってくれないから自分でやらないといけないし、生きてるって感じがする。人種もたくさんいるから考え方も多様。自分にやる気さえあればチャンスはいろんなところにあるのもNYの魅力の一つですよね。
動いてるひとには門が広いの。日本みたいにトップにいるからってあぐらかいてたらすぐ終わりだし、そういうのが気持ち良いんだよね。

Elisa お客さんはどんな方が多く来店されますか?

Yoshie 年齢層は高いです。いま80歳のオーナーたちが30歳くらいのときに立ち上げたから、お客さんも一緒に歳を取ってきているんですよね。42歳でもわたしはここではBABY! 一番多いのは40歳から60歳くらい、その次はおばあさん、その次は若い子ですかね。みんな一回で400ドルとか普通に使っていくんですよ

Elisa コミッションということも含めて、その世代のアメリカ人のお客さんをファンにするっていうことが、ポイントでもあり難しいことだと思うのですが、日本人でそれをやるっていうのはすごいことですよね!

Yoshie それも合ってたんだと思う。わたし嘘はつかないし、毎回なにか情報はあげたい。みんな好き嫌いが激しいから、私自身も意見がないといけないでしょう。私たちは毎回プレゼンテーションをしないといけないの。こうしてください、じゃなくて、今回は何してくれるの? っていう期待をされて来るお客さんが多いんです。

Elisa そういうお客さんにはどのように対応するんですか?

Yoshie お客さんの身になって一緒になって考える。最近はどんな服着てるのとか、どういう気分かをちゃんと聞きます。コンサルテーションをきちんとすると、最終的にそんなにヘアに変化がなくても、それで満足したりすることもあるんです。

Elisa 継続して来てもらうために、ファンをつけることが大切ですよね。

Yoshie そうなの、関係をきちんと築かないといけない。実は今のサロンにうつったときに、20パーセントもお客さんをなくさずにみんなついてきてくれたの。嬉しかったなあ。その関係を築く上で、商品を売ることはとても大切なんです。それは押し売りでもなんでもなくて、お客さんには分からない、プロの意見で勧めたものを気に入ってもらうということ。そうするとお客さんは絶対帰ってきてくれるんです。家に帰って使ってもらって、あぁ良いのを勧めてもらったなって、そうすると信頼につながる。そういうときもミルボンの商品は大活躍します。本当に必要なものだけをきちんとおすすめするのがもちろんポイントなんですけどね。

Elisa どういうスタイルが人気ですか。

Yoshie 流行りって、あるようでないんですよね。お客さんに一番合うものを提案します。日本で働いていたときは、そのとき人気のスタイルというのがあったから同じカラー剤だけがなくなっていったけど、それがいまはないから面白い。

Elisa アメリカのサロンだからこその働き方ってありますか?

Yoshie 面接で月いくら売り上げが出せるか聞かれて、答えた分を達成できないことが3ヶ月でも続いちゃったらバイバイって言われるのがアメリカ。技術の真似事で誰にやってもらっても同じ、というのを超えるのは、人間力、人間のパワーだけなんですよね。だからやっぱり信頼関係が全て。
コミュニケーションの取り方が日本とはすごく違うんです。日本は、お客さまは神様だけど、アメリカでは違う。お客さんに対しても、ちがうときはちがうってきちんと言うし、それが信頼につながります。下からおだてるんじゃなくて、私たちはプロフェッショナルだから、お医者さんと一緒で、これは違いますって、言えないといけない。きちんと話は聞くけど、最後に決めるのはわたし、っていう気持ちで接しています。マニュアルがなくて、誰にも同じように接さないから、だからお客さんも美容師を選ぶし、そうやってファンを増やしていく。本当に、お客さんも美容師も個性と個性のぶつかり合いで動物園みたいなの!笑

Elisa そのアメリカ流、の接し方はどうやって身につけたんですか?

Yoshie 毎日全力で、本気でやってたら身についてくるかなあ。まだまだ上に行きたいというモチベーションがとても高いです。日本から来て、NYで頑張ろうって思ってて、そのNYのお客さんに、髪を切ろうと思ったときに自分の名前を思い出してもらえるというのが本当に嬉しいんですよね。

Elisa 今後の目標はありますか。

Yoshie アメリカではまだ新しい、ヘッドスパをもっと広めたいです。記事でも紹介してもらえて、最近はどんどん人気が出てきています。ヘッドスパに使うミルボンの商品って、どんなニーズにも答えようとしているのがすごく良いんですよね。ボリュームにも、乾燥にも、どんな悩みの方にも、ターゲットを逃さずに提供できる。今はミルボンしか使ってません。お客さんの悩みに合わせて、新しい商品もどんどん提案しますし、ほかのスタイリストさんにもおすすめしています。

インタビューの最中ずっと笑顔でエネルギッシュに話してくれたよしえさん。アメリカでファンをつけるということは非常に難しいが、それをまるで簡単なことのように感じさせる話し方の裏には、天性の明るさと人から愛されるエナジー、そしてきっと誰よりも貪欲に努力する姿があるんだろう。またすぐにでも会いたくなっている自分に、もう自分もファンになっていることに気がつく。

写真・執筆 : ベイカー恵利沙
編集 : ミネシンゴ

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