INTERVIEW

最新の研究で分かった白髪化のメカニズムとは?

INTERVIEW

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櫻井勇希
ミルボン 研究開発部 基礎研究グループ

季節によって変わる髪の悩みやケア方法、人気のスタイルやヘアカラーなど、“髪”にまつわる「知りたい!」について、ヘアサロン業界のトップメーカー、ミルボンがWWD JAPANで答える連載。今回は、最新の研究で分かった、髪の”白髪化”が進んでいくメカニズムを明らかにします。

WWDJAPAN(以下、WWD):髪の白髪化のメカニズムで、以前から分かっていたことは?

櫻井勇希(以下、櫻井):これまで、白髪化のメカニズムでは、主に 2 つの原因が知られていました。
1 つは、毛根にあるメラニン色素を作る細胞が働かなくなってしまい、色素を作らなくなってしまうこと。もう 1 つは、メラニンを作る細胞そのものがなくなってしまうことです。

WWD:ミルボンによる最新の白髪研究の中で、新知見が明らかになったと聞いたが。

櫻井:そうです。上記の 2 つの原因が発生する前段階で、“メラニン色素は作っているけれど、髪まで運ばれない”というメカニズムを発見したんです。つまり、白髪化の3つめの要因ですね。

WWD:白髪化の初期の状態ということ?

櫻井:その通りで、白髪化の初期のステップですね。分かりやすく例えると、工場(毛根)でメラニン色素は作っているけれど、運ぶトラックがない状態です。生産はしているのに、運べないために髪は白くなっていってしまいます。
次の段階は、工場でメラニン色素を作らなくなってしまう状態。
その次が、作るべき工場がつぶれてしまった状態です。

この3段階で、白髪化が進行することが分かりました。

WWD:初期状態の白髪とは、具体的にどのような白髪?

櫻井:白髪がちらほら出始めた、“ファーストグレイ”などと呼ばれる段階でよく見られる白髪です。その世代の方には、真っ白ではなく、色素が少し残った薄いグレーやベージュの白髪、もしくは根元に近づくにつれて白くなる白髪がよくあるのではないでしょうか。
それこそが初期状態の白髪で、私たちは“不完全な白髪”とネーミングしました。

WWD:この新知見の画期的なポイントは?

櫻井:“白髪化の初期の段階で起きていること”が明らかになったことです。
これまでは、髪全体が白髪、もしくは真っ白になった白髪が主に研究対象になっていました。いわば白髪化が進行した状態です。しかし、一般的な病気でも進行した状態よりも、初期段階から治療すると治りやすいですよね。

初期の白髪のメカニズムを解明し、早期に手当てをすることで、白髪抑制の道を開いたことが画期的なポイントです。

WWD:“不完全な白髪”は改善する?

櫻井:トラック不足を解消することで、改善すると考えています。
トラックに該当するのは、“メラノフィリン”という遺伝子です。加齢などによりこの活性が低下すると、トラック不足に陥ってしまいます。さらに、このメラノフィリンの活性化には、「カッコンエキス」、ハーブの「タイムエキス」、カモミールで知られる「カモミラエキス」という 3 つの植物成分でアプローチできることも分かりました。

白髪化のメカニズムを工場とトラックに例えたイメージ
白髪のある男性の頭皮に、3つの植物エキス(カッコンエキス、タイムエキス、カモミラエキス)を配合した頭皮用ローションを用いて頭皮ケアをしたビフォー(左)とアフター(右)

WWD:なるほど。数年前、化粧品分野では“シワ改善”ができるコスメが登場して話題になった。今回の話を聞いて、近いうちに“白髪改善”とうたえるヘアケア製品が登場するという期待を抱いた

【問い合わせ先】
問い合わせ先:ミルボンお客様窓口 0120-658-894/企画・制作:WWDJAPAN

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