INTERVIEW
美容師との時間は、楽しさとモチベーションをくれる——MINX shibuya
清嶋美優さんは、1年半前から渋谷のサロン「MINX shibuya smart salon」のスタイリスト・花岡瑠斗さんの元に通い続けています。清嶋さんがSNSでたまたま見つけた花岡さんは、お客様に寄り添おうという優しさと、仕事が楽しいという気持ちにあふれていました。
「この人に切ってほしい」という想いで、通い始めて1年半。二人のこれまでの思い出や、髪に抱く想いを伺いました。
提案力の秘密は「お客様ノート」
ー清嶋さんは、花岡さんにいつから担当してもらっていますか?
清嶋:「MINX ginza central」から通っているので、1年半前くらいだと思います。たまたま「美容室を変えたいな」と思っていて、InstagramやTikTokをチェックしていた時に、花岡さんのTikTokを見つけました。
ー 普段から、SNSで情報収集しているのですか?
清嶋:はい。例えばInstagramだと、「#トリートメント」とかでいい商品がないか調べたりします。最近は、TikTokで調べたい情報に関するキーワードを3つくらい入力して検索するんです。「トリートメント かわいい 安い」とか、「トリートメント 髪 パサパサ」とか。
出てきた動画を上から3つくらい見て、コメント欄で実際に使っている人の口コミもチェックして、商品を選びます。
ー かなり細かくチェックしているのですね。TikTokで見つけた花岡さんには、どんな印象を持ちましたか?
清嶋:お客さんと楽しそうに会話していて、「どんな感じにしたいですか?」と、一歩ずつお客さんに歩み寄っていこうとする姿勢が印象的でした。
ただお客さんのリクエストを聞くだけじゃなくて、ものすごく熱心にスタイリングの提案をしているのも素敵だなと思い、「この人にお願いしたい」と指名しました。
はじめて来店した時も、全部お任せで切ってもらったんです。プロなので上手なのはもちろんなんですが、会話も気さくでとても楽しい時間を過ごせました。
忙しい日でもカラーリングの合間に声をかけてくれたり、髪を乾かしに来てくれたり、お客さんひとりひとりにちゃんと寄り添う優しさも素敵だなと思っています。
清嶋:あと、花岡さんは前回来店した時のことを、ちゃんと覚えていてくれます。後から知ったんですが、花岡さんは「お客様ノート」というのを取っているんです。
ノートにお客さんのことをメモしていて、「前回はピンク系のカラーリングにしたから、今回はこの色でどう?」と提案してくれて。そういう姿勢がすごいなと思って、今も通い続けています。
ー お客様ノートには、具体的にどんなことを書いているのですか?
花岡:お客様の名前と来店した日、提案したメニュー、実際のサービス内容、会話内容の4項目を毎日書いています。朝起きたらその日の予約を見て、「○○様がいらっしゃるな」というのを確認します。
花岡:その後、ノートで前回の内容をチェックして、「今日はこういう提案をしようかな」とシミュレーションするんです。
ー すごいですね。いつからお客様ノートを付け始めたんですか?
花岡:「MINX ginza central」で、アシスタント時代、カラー塗布を始めたタイミングからです。この時、なかなかお客様のことを覚えられなくて、会話がギクシャクしたことが何度かありました。これはまずいと思って、ノートにまとめるようにし始めたんです。
ここまでお客様が増えるとは思っていなかったんですが、今では日に日に分厚くなっていくノートが、僕にとっての宝物になっています。
技術を磨いて、笑顔で親身に話を聞き、自信を持って提案する
ー 二人は普段、どんなことを話しているのですか?
花岡:いろいろ話します。例えば最近は、サウナで盛り上がりました。
清嶋:花岡さんがサウナーなので、おすすめのサウナはどこかをよく聞いているんです。この前は、花岡さんが私の地元の福岡に出張すると聞いて、おすすめのご飯屋さんについて話しました。
花岡:1日だけの出張だったんですが、とにかくたくさんお店を教えてくれたので、どこに行こうかすごく悩みました。福岡のサウナ情報も教えてくれましたよね(笑)。
清嶋:ちょっと変わったエピソードもありましたよね。
私は大学で上京したんですが、入学式の前日に母と食事をしていたんです。その時、隣のカウンターにいた人が声をかけてくれたんですが、その人が花岡さんの親友でした。
花岡:この時はまだ、みゆさん(清嶋さん)は僕のお客様ではありませんでした。僕のところに通い始めて、しばらく経った時にこの話をしてくれて。SNSで僕と親友が写っているのを見て、「あの時の人だ!」と気づいたらしいんです。
後日みゆさんと親友が写っている写真も見せてもらいましたが、びっくりしましたね(笑)。
ーものすごい偶然ですね。花岡さんはお客様との会話で、どんなことを意識していますか?
花岡:美容師は接客業なので、表情をとても大切にしています。特に意識しているのは、「真顔にならない」ということです。マスクをしていた時、僕たちは目元しか相手に見えません。だからこそ、おだやかな表情を心がけています。
あと、お客様がこの後にたくさん控えていても、忙しさは顔に出さないようにしています。常に笑顔の方がお客様も安心するし、僕も楽しいし、それを見ているスタッフもいい気分になれるでしょう?
それくらい、表情は周りに影響を与えると思って仕事をしています。
ー花岡さんは、「楽しく仕事をする」というスタンスをとても大切にしているのですね。
花岡:そう思うようになったのは、ある美容師さんとの出会いがきっかけでした。その人はすごく明るい人柄で、お客様も皆さん楽しそうだったんです。その人を見て、僕は美容師になろうと思ったんです。
普段から、友人と遊ぶ時も「どうやったら皆が楽しめるか」を考えるのが好きだったので、それが仕事にもうまくハマったんだと思います。
ーなるほど。花岡さんのお客様は、どんな方が多いですか?
花岡:年齢層は幅広いですが、大なり小なりおしゃべりが好きな方が多いです。あと、僕は「似合う髪型を一緒に探しましょう」というスタイルを売りにしているので、初回から「おまかせで」とリクエストされるお客様が多いと思います。
ちょうど昨日も、30代のお客様と50代のお客様が新規で来店されましたが、おまかせで切らせていただきました。
実際、「このお客様はぜったいショートが似合う」と思えば、必ずいい結果になると思っているので、自信を持ってお伝えして、躊躇なく切ります。間違いのない提案ができるよう、日々の練習も欠かしていません。
ーハッキリと言い切れるのはかっこいいですね。清嶋さんも、おまかせで切ってもらっているのですよね。
清嶋:基本的にはそうですね。
花岡:スタイリングは結構変えていますよね。長さはもちろん、レイヤーカットを入れたり、就職活動中は暗くなりすぎないスタイルやカラーリングにしたり。
清嶋:花岡さんは私の髪質も熟知しているので、信頼しておまかせしています。そうすれば、ぜったいキレイになれると分かるので。
花岡:嬉しいです、ありがとうございます。とはいえ、スタイリングに不安のある方には、会話の中で「ここまで切るのは嫌ですか?」と、許容できる部分を一緒に探ります。自信過剰になりすぎるのは危険なので、お客様とのコミュニケーションでバランスを取ることを大事にしています。
あと、僕は初回カウンセリングの最初の1分間は、聞くことに徹しているんです。
「MINX shibuya smart salon」に来店した経緯や、何を求めているのかをしっかり聞いて、その後、どんなスタイリングにするかを1分間話し合います。その上で、僕が1分スタイリングの提案をするようにしています。
こちらがしっかりとお話を聞くスタンスを持っていれば、お客様は親身に答えてくださいます。相手がどんなお客様でも、ここさえ間違えなければ大丈夫だと思っています。
髪は「モチベーション」であり「アクセサリー」
ー 清嶋さんにとって、「MINX shibuya smart salon」はどんな点が魅力ですか?
清嶋:おしゃれなところです。「MINX shibuya smart salon」は開放的で明るくて、非日常を味わえるのがいいなと思います。
それと、席にあるiPadでトリートメントやシャンプーを見られるのも嬉しいです。気になった商品があれば、花岡さんにすぐ聞けるし、実物も見て取れるのもありがたいです。
花岡:タブレットで商品説明がすぐできるし、実際に商品をお見せすることもできるというのは、僕にとっても嬉しいポイントです。シャンプーとかは使いきりサイズも置いてあるので、まずはローコストで試してもらって、リアルな意見を聞いてから提案を進められます。
「今日はちょっとお金がない」という時も、ミルボンIDでオンライン購入できる環境が整っているので、購入に至るまでの流れを非常に作りやすいです。商品のことを知ってもらえれば、どこかのタイミングで購入してくれるかもしれません。
ー 二人にとって、「髪」とはどんな存在なのかを教えてください。
清嶋:髪は女性にとっての「武器」だと思います。街中で髪の毛がサラサラなお姉さんを見かけたら、「キレイだな」と感じるじゃないですか。
髪の毛は、女性にとっての身だしなみでもあるし、髪の毛がキレイだとモチベーションやテンションも上がります。アレンジするのも楽しいし、たとえすっぴんだったとしても、髪の毛の印象ひとつで女性らしさを演出できると思うんですよね。
花岡:みゆさんのおっしゃる通り、髪というのはある種の「モチベーション」だと思います。鏡で自分を見る時も、人に見られる時も、髪の毛がキレイだったり周りの人にほめられたりすると、すごく嬉しいじゃないですか。
逆に、毛先がはねていたり思うようなスタイリングができないと、お客様のモチベーションは下がってしまいます。僕たち美容師は、そうやってモチベーションが下がることのないように、お客様の髪をケアする存在だと思うんですよね。
僕にとっての髪は、自分を着飾るアクセサリーだと思っています。小顔に見せたり見た目の印象を変えたりできる、自由自在に形を変えられるアクセサリーかなと。
写真:小林一真
執筆:サトートモロー
取材・編集:飯髙悠太