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育毛ケアに新たな可能性!? ~髪を生み出す“幹細胞研究”への新たな挑戦~

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ヘアケアだけでなく育毛分野においても先進研究を行うミルボンが、“育毛のための新たなアプローチ”にチャレンジしました!
“育毛のための新たなアプローチ”っていったいどんな研究? わかりやすくお伝えします!

研究開発部のT.K.さん

従来のアプローチと異なる、新しい着眼点

髪の毛の状態は、見た目の印象に大きな影響を与えますよね。そのため抜け毛や細毛に悩む人も多く、広く育毛研究が行われています。

髪は、根元部分で「毛母細胞」が分裂・増殖することで徐々に伸びていきます。このことから、これまでにも毛母細胞の活性化、毛母細胞へ栄養を届けるための血流を改善、などといった着眼点で育毛研究が行われてきました。

では、そんな毛母細胞はどのように生まれるのでしょうか。実は、毛母細胞は「毛包幹細胞 」から生まれます。つまり、毛包幹細胞こそが髪を生み出す源とも言えるんです。
そのため、「毛包幹細胞から毛母細胞への分化*1を促進することができれば、これまでとは違う新たなメカニズムでの育毛ケアが可能になる」と考えたのが、今回の着眼点です。
*1 分化
細胞が特定の機能や形態をもつこと。

毛包幹細胞へのアプローチ。課題と、打破する解決策

しかしながら、毛包幹細胞は不安定で、そのものを用いた育毛研究は困難でした。
そこで今回は、毛包幹細胞と似た性質を持つ、 “ヒトiPS細胞*2”を活用し、育毛成分の探索に挑戦しました。

*2 ヒトiPS細胞(induced Pluripotent Stem cell:人工多能性幹細胞)
ヒトの細胞に特定の遺伝子を導入することで、人工的に多能性(あらゆる種類の細胞に分化する能力)と自己複製能(無限に増殖する能力)を付与した細胞。京都大学 山中伸弥教授らが発明、2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞。


ヒトiPS細胞は近年、主に再生医療の分野で研究が進められている細胞です。このヒトiPS細胞の活用で、これまで技術的に難しかった“幹細胞から毛母細胞を生み出すような育毛研究”を可能とし、“髪の根源”に迫る研究を実現させました。

ヒトiPS細胞を活用し、遺伝子発現レベルで育毛効果成分を選定

ヒトiPS細胞に複数の植物エキスをそれぞれ添加したのち、毛包幹細胞が毛母細胞に分化する際に発現が見られる遺伝子の発現量を確認しました。その発現量が多いほど、毛包幹細胞から毛母細胞への分化が期待できる(新しい髪がつくられやすくなる)ということになります。
この結果、トウキ根エキスモウソウチクたけのこ皮エキスの添加によって髪の形成に関わる遺伝子発現量が増えることがわかり、育毛効果を期待できる成分として選定することができました。

髪の形成に関する遺伝子(KRT31)の発現量を成分別に示したグラフ

2種の植物エキスが、毛根組織で実際に育毛効果をもつことを確認

ヒトiPS細胞において、遺伝子発現に効果があることがわかったトウキ根エキスとモウソウチクたけのこ皮エキス。これら2種の成分について、実際の育毛効果の確認を行いました。その結果、トウキ根エキス、モウソウチクたけのこ皮エキスは、実際に髪を伸長させることがわかりました。

トウキ根エキスとモウソウチクたけのこ皮エキスの、毛根組織を用いた髪の伸長効果検証結果
大阪公立大学との共同研究部門『薬物生理動態共同研究部門』において、手術後の余剰頭皮から単離・器官培養した毛根部の組織を用いた検証を行いました。本研究は倫理審査委員会の承認を得て行いました(大阪公立大学医学研究等倫理審査委員会承認番号2020-032)。また、倫理審査委員会で承認された同意書に基づき、インフォームド・コンセントを得て試験を行いました。

育毛ケアを続けると、どんな効果がある?!

育毛などの頭皮ケアはヘアケアと違って、ケアを頑張っても短期間では効果が見えにくいもの。やはり気になるのは、毎日の生活の中で、頭皮ケアを真面目に続けるとどうなるのか?(本当に効果があるのか?)ですよね。
そんな疑問に応えるべく、複数の女性被験者に対して、トウキ根エキス、モウソウチクたけのこ皮エキスを配合した頭皮用テスト美容液を毎日使用して頭皮ケアを行う連用試験も行いました。その結果、細毛の改善抜け毛の減少という結果が得られています。

さらに、分け目が目立たなくなった実効例、生え際の産毛の増加がみられた実効例も確認されました。

トウキ根エキス、モウソウチクたけのこ皮エキスを配合した頭皮用美容液の連用で効果があった被験者の例
本研究は倫理審査委員会の承認を得て行いました(ブレインケアクリニック倫理審査委員会承認番号 BCC230427-2)。また、倫理審査委員会で承認された同意書に基づき、インフォームド・コンセントを得て試験を行いました。

おわりに

確かな裏付けとともに、新たなアプローチでの育毛効果が実証された今回の研究。これまでのケア方法では満足できなかったり、ケア方法に迷ったりしていた人にとって新たな希望となるような製品を作りたい、そんな想いが詰まった研究です。

じつはこの研究、「第 33 回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)バルセロナ大会 2023」にて口頭発表応用部門におけるトップ 10 に選出されたとのこと。
国際的にも注目を浴びている今回の研究に続き、育毛作用メカニズムのさらなる解明や、研究を活用した高機能な頭皮ケア製品の誕生に期待ですね!

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取材・執筆 : 高橋あやな 写真:ミネシンゴ

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