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阪急うめだ本店『#playkimono』レセプション ― 着物とヘアの関係性

REPORT | 2017.06.14

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阪急うめだ本店、9階の祝祭広場。おもいおもいに和の装いをした人々が、笑顔で杯をかわしている。“自由に楽しく、「日本」を身にまとう”というコンセプトで、和装の新しい着こなしや楽しみ方を提案するイベント『#playkimono』。オープン前夜のレセプションパーティーには、100名近い人々が集まった。運営を手がける電通の各務さんは、この空間を「人と人がつながるきっかけのひとつに、着物がある場所」と表現している。

プロデューサーの松浦拓平さんは「京都で仕事をしていると、着物が身近になる」という。ちょっとした外出に和服を身につけるのは、とても心地がいい。若い世代も、着物に興味を持ち始めている。でも、着るための作法が多かったり、よい機会がなかったりして、なかなか手を出しにくいのが現状だ。

「本当は洋服と同じで、好きなように着ればいい。だから『#playkimono』では、自由に着るためのアイディアを表現しました。さまざまなアンバサダーが新しい着こなしを提案したり、トークショーを行ったり……たとえば、ヘアアレンジもそのひとつです。和装に合う髪型や髪飾りは、ぐっと気持ちを高めてくれるから、浴衣に合うヘアアレンジのセミナーなどを設けています」

和装を愛するさまざまな人が、それぞれに装う

さて、レセプションであたりを見回すと、自由に和装とヘアを楽しむ人々が多い。とりわけ素敵な来場者に、髪型のポイントを聞いた。

たっぷり入ったハイライトのまとめ髪が印象的な、左の女性。
「明るい毛束を散らすこともできるけれど、今日はひとところですっきりまとめました。カジュアルな絣の着物に合わせて、ヘアもツートーンにしたかったんです」
本当はもっときれいに仕上げたかった、と不完全燃焼ぎみに言う。でも、とても楽しそうだ。一緒にいる右の女性は、着付けの講師。阪急うめだ本店は“いまの着物”を見せるのが上手だから、このイベントを楽しみにしていたのだそう。
「着物を着るときは、髪型まできちんと整えてようやく完成。今日はプロの方が多いので、着物も髪もかっちりめにしています」

美しいブロンドに大輪の花をあしらい、渋い鉄錆色を着こなす女性。テレビのリポーターも務めているらしく、流ちょうな日本語でにこやかに話す。
「着物を着るときは、うなじを潔く見せなくちゃ美しくない。なのに、こないだ髪を短く切ってしまったので、アップヘアをつくるのにすごく苦労しました」
彼女は、舞妓や芸妓の友人が多いという。きちんとしたなかにも華やかさを忘れない着こなしには、学ぶことばかり。今日は遠くからでも目を引くように、耳元にイギリスのイヤーカフを添えた。

「美しいまとめ髪をつくるのは、慣れと練習です」と言い切るのは、親子でパーティーに訪れていたお母様。5年前からヘアメイクアップアーティストとして活躍しており、ここ数年はすっかり和装に魅入られている。自分たちのヘアメイクは、もちろん自前だ。
「娘はアンティークの着物に合わせて、昭和っぽいまとめ髪。前髪をすっきり留めて、ウェイトの低い編み込みに仕上げました。私は艶やかな着物に負けないように、毛束のまわりに付け毛でボリュームを足しています」

こちらは、会場でもひときわ目立っていた、アバンギャルドな着こなしの二人。自分たちが手がける『ムーンアニマル』というブランドのアイテムを、思うままに組み合わせた。短い髪の毛をひっつめたり、サイドに流したり、それぞれに遊んでいる。髪飾りも、真っ赤な扇子も、フラメンコの道具だとか。新しいコーディネートを、全身で楽しんでいるのが面白い。

会場正面のカウンターでうるわしく咲いていたのは、スナック『ぎをんせくめと』のママ。行きつけの美容室で、その日の気分や着物に合わせてヘアスタイルを相談するという。ときには竹久夢二の絵をモチーフにする、なんてことも。
「今日はお祝いの場だから、おめでたい髪型にしてもらいました。トップの髪を高く結い上げた『二百三高地』という束髪で、日露戦争で日本が激戦地を制したことから、その地名にちなんで名付けられたヘアスタイルなんだそうです。初夏の着物に桔梗の髪飾りを合わせて、季節もたしなんでいます」

同じ美容室で束髪をしてもらったのは、ヘッドドレスのデザイナーだという女性。
「『せくめと』のママにお願いして、いっしょに美容室へ連れて行ってもらいました。高校生のときからずっと憧れていた髪型なので、とってもうれしい! モダンな着物とクラシカルなヘアを合わせれば、どんな時代にも馴染むんだなって再確認しました」

新たなかたちで、美容師とヘアが出会う場所

レセプションの後半には、『WHITE HOUSE』大阪店のチーフスタイリスト・道 佑華さんによる、ヘアアレンジのデモンストレーションがあった。サロンワーク以外で美容師がヘアと関わる、新たな表現の場。そんな可能性を、ミルボンはサポートしている。

すばやく、だけど落ち着いた動きで、あっという間にまとめ髪を仕上げていく道さん。スタイリングを終えて、ポイントを語ってくれた。
「和装のヘアは、まるみのある“面”が重要。まとめた髪でゆるやかな曲線を描きつつ、立体感のあるヘアをつくっていきます。着物は洋服よりも華やかだから、あまり作り込む必要はないけれど、ラフに後れ毛を引き出したり、トップにボリュームを足したりして、品や色気が感じられる髪型にするのがおすすめです」

そんなパーティーの人だかりに、雑誌『CYAN』の編集長・鈴木暁さんの姿。着物とヘアの関係性を、興味深そうに見ている。
「着物や浴衣は、現代では普段着ではなく、特別な装いですよね。だからこそ、旅先やお祝い事、花火大会など、いつもより少しだけ髪に質感をオンして、口元も鮮やかな紅を差して……ヘアメイクも含め、特別な着物時間を愉しんでほしいと思います」

イベントアンバサダーのひとり、ファッションPRの中室太輔さんは「着物を着る機会を作っていくのが先か、それとも着物がワードローブに入るのが先か? さまざまな人や場所を巻き込むことで、もっと日常から和装を楽しんでいきたい」と語っていた。

私たちが着物に親しむきっかけのひとつには、自由なヘアがあるのかもしれない。そんな可能性の一端を見る、初夏の夜だった。

#イベント情報
#playkimono
2017年6月7日(水)~19日(月)
阪急うめだ本店 9F祝祭広場
※最終日は18時終了

『WHITEHOUSE』スタッフによるヘアアレンジセミナー
6月14日(水)15時~/17時~ 杉山 塁(芦屋店トップスタイリスト)
6月15日(木)13時30分~/16時~ 斉藤 茜(ココチェッサロントップスタイリスト)
6月16日(金)12時30分~/16時~ 道 佑華(大阪店チーフスタイリスト)
※各回約30分、参加者枠10名(無料/要予約)

ライター 菅原さくら

1987年の早生まれ。ライター、編集、雑誌『走るひと』副編集長など。人となりに焦点を当てたインタビューや対談が得意。雑誌やWebメディア、広告・採用、コピー、パンフレットなどさまざまなものを書きます。

CREDITS
写真:ミネシンゴ
取材・執筆:菅原さくら
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