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“熱ダメージ”をブロック! やわらか質感をキープできる新しいストレートパーマ剤の秘密は?

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こんにちは! ライターのゆぴ(17)です。

本記事は、科学に関して「水兵リーベ僕の船」あたりで止まっている私が、ミルボンの専門性が高い技術や知識のお話を、美しい髪を目指す読者さまに向けてわかりやす〜く噛み砕いていくものとなっております。

今回は「ストレートパーマ」のお話。特に、癖っ毛の人にとっては欠かせないメニューですよね。アイロンで一生懸命伸ばしても、雨の日にはあっという間にウネる髪の毛が、ずっとサラサラストレート状態でキープされるあの感動と言ったら…!

でも、ストレートパーマをかけると、最初のうちはキレイでもだんだん髪の毛がパサパサしてきたりゴワついてきたり…で頻繁にかけるのはつい躊躇してしまう。いくら真っ直ぐになったところで、髪の毛の状態が悪いと本末転倒ですよね。

というわけで、今回はそんな悩みを解決するべくミルボンが開発した、”熱ダメージを限りなく抑えたストレートパーマ剤”について、お話を聞いてきました!

ゆぴ ストレートパーマと言えば、癖っ毛をまっすぐに伸ばす施術のことですよね。私も何度かかけたことがあります!

岡本 はい。実は、現在におけるアイロンを使用して髪をストレートにするストレートパーマ剤というのはミルボンが1番初めに医薬部外品として発売したものなんですよ。それ以来、ミルボンはストレートパーマに強い会社なんです。

ゆぴ えぇー! すごい! ちなみにアイロン以前はどうやってストレートにしていたんですか?

馬場 プラスチックの板のようなものに髪を貼り付けていました。

ゆぴ 想像するとシュールすぎる…。

アイロンを使う方法って意外と最近開発されたものだったんですね。これはどういう仕組みで真っ直ぐになっているんですか?

岡本 まず、「還元剤」と呼ばれるものを髪の毛に塗って放置し、髪の毛のなかのタンパク質の「SS結合」を切ります。その状態で、アイロンを使って真っ直ぐに伸ばし、最後にその状態を維持するため「酸化剤」をつけて、「SS結合」をまたくっつけてあげることで、真っ直ぐな髪の毛を維持しています。

ゆぴ SS結合…!? なんか強そう。

岡本 ちょっと難しいので、絵に描いて説明しますね!

岡本 タンパク質というのは、このように複数のSS結合によって支えられているんですけど、人によっては毛髪内部のSS結合に偏りがあり、それがくせ毛の原因になっているんですね。それを一度切り離して、綺麗に整列させてから、固定するイメージです。

ゆぴ なるほど。それで真っ直ぐな髪の毛のままキープされるんですね!

馬場 癖っ毛というのはその人のコンプレックスだったりするので、初めてストレートパーマを受けた方は涙を流して喜んでくれたり、ミルボン宛に手紙を送ってくれたりもするんですよ。

でも一方で、「もっと仕上がりをやわらかくしてほしい」「ダメージを軽減してほしい」という声も挙がっていました。

ただ、真っ直ぐにするためのアイロンによる「熱ダメージ」はどうしても避けられないものだったので、みんな諦めていたんですよ。

ゆぴ ドライヤーもあまり当てすぎは良くないと言われるくらいだし、アイロンからのダメージはもっと大きそうですね。

私もダメージを気にしてストレートパーマは年に1度しかかけないんですけど、具体的にはどんなふうにダメージを受けちゃうんですか?

岡本 毛髪の85%を構成するタンパク質は、何も手を加えない状態(天然状態)から熱を加えると変性体になり、最終的に凝集体と呼ばれる状態になって、それが手触りの悪さやチリつきなどの原因になってしまうんです。

イメージとしては、やわらかい生卵に熱を加えると、ゆで卵となって固まるイメージと同じですね。

ゆぴ あっ、それはわかりやすいかも。

馬場 さらに、凝集体になると、タンパク質に隙間が出来て、そこに染料が溜まるため、カラーリングをしたときに思っていた以上に色が暗く染まってしまう「色沈み」の原因にもなってしまうんです。

だから、ストレートパーマを繰り返していると、髪色がグラデーションがかったようにまばらに染まるようになるんですね。

なので、変性体のあとに、凝集体にならないようにブロックする必要がありました。

ゆぴ タンパク質が凝集体になるのを食い止められれば、ストレートパーマをかけても髪の毛がゴワついたり、カラーリングがしにくくなるのを抑えられる、ということですか?

岡本 そうなんです。そこで、ミルボンでは「熱ダメージ」にアプローチするべく、タンパク質からストレートパーマを見直す研究を始めました。

当時、ミルボンでは毛髪の研究は進んでいたものの、実はタンパク質に関する知見はあまりなかったんです。

そこで、タンパク質におけるスペシャリストとともに、研究を始めました。

ゆぴ (この世には成分ごとにスペシャリストがいるんだなぁ…)

岡本 そして、”毛髪内タンパク質熱 凝集抑制成分探索法”というのを編み出し、2年間の歳月をかけて効果的な成分を探した結果、”アセチルグルコサミン”という糖の一種が効果的であることを突き止めました。

こちらの動画を見てほしいのですが。

ゆぴ なんですか?これ。

岡本 タンパク質の話って、一般の方にとっては難しいので、ここでは卵の実験を用いて説明しています。

卵の黄身をタンパク質だと捉えていただくと、このように、熱を加えれば通常は卵が固まってしまうのに対し、アセチルグルコサミンを加えたものはサラサラとした状態を保っています。

ゆぴ 本当だ! あたためても生卵が生卵のまま、という不思議な光景…これが科学のチカラなんですね。(小並感)

馬場 これを実際の髪の毛で実験してみると、硬さが軽減されてやわらかい質感がキープされ、ツヤが向上しただけではなく、その後のヘアカラーでも綺麗な発色が確認できました。

ゆぴ 良いことづくめじゃないですか。やわらかいだけじゃなく、ツヤもアップ!

岡本 ストレートパーマをかけると、熱ダメージによってキューティクルが浮いてきてしまい、乱反射してツヤのない髪の毛に見えてしまっていたんですね。

それが、アセチルグルコサミンの熱ダメージ抑制効果によって、毛髪表面のダメージが少なくなり、より自然なツヤが出るようになったんです。

ゆぴ なるほど。ダメージを気にしてストレートパーマは年に1度と決めていたけど、また受けてみようかなぁ。

岡本 ヘアデザインを楽しむに当たって、熱を加えてスタイルを変化させることは必要不可欠ですよね。

だからこそ、誰もがダメージに気を遣うことなく自分らしいヘアスタイルを楽しめるよう、今回の発見を活かして製品開発を進めていけたら、と思います。

どんどんバージョンアップさせていきますよ!

「できるだけ髪の毛に無駄なダメージを与えたくない」

という思いから、ストレートパーマやパーマはできるだけ控えていましたが、ストレートパーマ剤もこうして日々進化していってるんだな…とちょっぴり感動しました。

今はまだ100%ダメージを抑えらるわけではないけれど、いつか「え?これ?地毛だけど?」とノーダメージでサラサラ美少女ストレートヘアをキープできる日も近いかもしれません。

執筆 : ゆぴ

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