INTERVIEW

サロンモデルドキュメンタリー
「もし、サロモがいなかったら」ー vol.1

INTERVIEW | 2017.07.12

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Coupe presents
連載

サロンモデル、通称サロモ。美容師と作品づくりをするパートナーとして、必要不可欠な存在だ。多くのサロモが所属する『Coupe』には、経歴、職種、十人十色の人生観をもったサロモたちがいる。Coupeモデルになるためには倍率40倍以上の難関を通らなくてはいけない。サロンモデルと仕事の両立を追いながら、サロモたちの大切にしていることをうかがう連載のスタート。

「やりたいことに、やっと出会えた。」

連載第一回目のサロモは、高橋りなさん。「サロモの鏡」とCoupe社長に言わしめ、去年の3月から本格的にはじめたばかりにも関わらず、連日撮影が絶えない。撮影風景をアップするInstagramのフォロワーは1万人を超える。
実は、サロモと地元での家業の卸売業を手伝い二足のわらじをはく彼女。地元と都内を往復する日々を過ごす。サロモという仕事への誇りが人一倍強い彼女、サロモも家業も全力投球な高橋りなさんの1日を追った。

りなさんの1日は、朝の6時からはじまる。実家は古くからの温泉街にあり、ホテルや旅館に新鮮な食材を卸売りしている。父と母、りなさんの少数精鋭。アディダスのジャージを身にまとい、髪もしばって、普段の彼女からは想像つかない姿。父と2人でトラックに乗り込む。
「多いときは10軒以上、配達に行きます。母が経理や問い合わせ等、庶務をすべて請け負っているので配達は父と2人です。」

配達先に到着すると、手際よくトラックから荷物を出してお父さんが運ぶ。顔見知りの業者さんとも挨拶を交わしていた。お父さんにりなさんの仕事ぶりを聞くと、「まだまだ半人前で、もっと働いてもらわないと」と言った。その笑顔に娘への優しさと信頼を感じた。

サロモになりたいと決意した時、すぐに父と母に相談をした。サロモのサの字もわからない2人に1から説明しやりたい気持ちを正直に伝えると、2人は応援してくれた。
「本当は声をかけてもらった全部の撮影に行きたいのですが、朝仕事のために行けないこともあり、最初はストレスが溜まりました。でもやりたい気持ちを両親にも美容師さんにも伝えて、話し合うことでうまく調整できるようになりました。」
家業を辞めたくなることはないのかと聞くと、彼女は真剣な表情で答えた。
「最終目標のためにも、今は両方やる時期だと。父も本気で仕事をしているので、やる気のない人が一緒に仕事をするのはダメだと思います。やるからには、両方きちんとやりたいです。」

撮影の1時間前には到着する、というのが彼女のルール。最寄駅から都内への移動時間は約2時間。電車の中でInstagramの更新や作品のチェックをする。
「撮影前はいつも緊張しますが、やるしかないと電車の中で気持ちを切り替えています。」りなさんがサロモになりたいと思ったのは、板橋にあるサロン『AFLOAT』での初めての撮影がきっかけだった。
「サロモとはどういう仕事かわからずに遊び感覚で行ってしまったんです。でも現場に行くと、そんな場所じゃないとすぐにわかって。緊張感はありましたが、ひとつのものをみんなで作る感じがすごく楽しかったんです。」
今後どうしたいのか聞かれ「サロモになりたい」と答えた。その気持ちに応えるように美容師が作品をプッシュしてくれ、それがきっかけで毎週撮影が入るようになった。もちろんすべてが順調だったわけではない。他のサロモの写真を見せられ目の前で比べられたことがあったり、「美容師さんにいつもいい顔をしている」と影で言われたり。自分に自信を持てない日も多かった。それでもサロモとして生きていく覚悟をもち、Coupeに絶対受かりたいと撮影をたくさん入れた。
「Coupeのオーディションに合格したときが、人生の転機だったと思います。」りなさんは嬉しそうに話した。

実はとても小心者だと話す彼女は、日々の研究も惜しまない。
「同じ表現をしても埋もれるので、自分らしい表現を見つけるために、他のサロモやインスタグラマーの投稿をずっと見ています。本当に、ずっとです(笑)。」アドバイスはすぐに取り入れてくれると、Coupeの社長は話す。カラーコンタクトを外してほしいと伝えると、次の撮影では外していた。「いいことも悪いことも、私のために言ってくれているので前向きにがんばろうと思えます。ここまで来られたのは、みなさんのおかげ。アドバイスはきちんとキャッチして自分の中にどんどん取り入れていきたいです。」

どうしてそれだけ情熱を持ち続けられるのか。そこにはりなさんの苦い経験があった。

「学生時代のソフトボールは全国大会に出るほど強かったのに怪我でできなくなり、ジムのインストラクターは仕事のしすぎでドクターストップがかかってしまい‥‥今まですべてが中途半端で、やりたいことをやりきれず悔しい思いをしました。でも今、やっとやりたい仕事に出会えたんです!」
高校時代の恩師の言葉も、りなさんの心に残っている。
「中身のある頑張り方をしなさい、とよく言われました。他のサロモに比べて、私は誰よりも本気でやらないとスタートラインにも立てないんです。やりたいことをやれる環境にいるので、サロモとしてできることは全部やりたいですし、何を言われてもサロモを極めようという意思だけは絶対に負けません。」
意思がはっきりとしている分、目標への進み方もカッコいい。投げ出したくならないのか問うと、「不安な気持ちは常にありますが、投げ出したくなることはないです。」と笑顔で答えた。

サロモとして嬉しいことを、りなさんに伺った。
「撮影した作品がHPなどに使用されると、期待に応えられたかなと自信になります。後日、私の写真を持ってサロンに訪れてくださる方がいるともっとうれしいですね。逆に、載らなかった作品のダメな所も自分なりに振り返ります。」

リピーターの美容師も多く、また声をかけてもらえることは大きな自信につながると言う。そんな彼女が一番好きなのは、『現場』だ。
「ひとつのものを0から一緒に作り上げて、作品を使っていただいて、それをきっかけにお客さんが増えて。要望には必ず応えられるようになりたいので、たくさんの現場に行って学んで、もっとサロモを極めたいです。」
りなさんは美容師と二人三脚、という意識が強い。
「サロモは神様ではないと思います。作品づくりを頑張っている美容師さんと一緒に、よりよいものを作る関係でありたいし、そういう思いを姿勢でみせたいと思っています。」
時に、いい子を装っていると言われても、美容師に気持ちよく仕事をしてほしいという気持ちは嘘のない本心。美容師とサロモが仕事のベストパートナーになることを、りなさんは強く望む。
「はっきり要望を伝えてくださる方もいますが、「髪が崩れるからここは触らないで、ここは逆に触って」などポージングや細かい指示は遠慮なく言ってほしいです。あとは撮影中に写真をチェックさせていただいて改善点を話し合うなど、コミュニケーションをたくさんとって、さらにいい作品を作りたいです。」

最近決意したことがある、とりなさん。
「35歳までにサロモ一本になりたい、という目標があります。そのために、髪をショートボブに変えることを決意して‥‥髪を切って、印象をガラリと変えて、ボブといえば高橋りな、と皆さんに知ってもらえるようになりたいです。」
目標は明確、愚直な人だ。
「やりたくてやっているし、行きたいところにしか行かないし、自分の中がすごくはっきりしているので今はサロモをやれることが嬉しくてしょうがないです。」
自らやりたいことを選択し、目標に向かって突き進む。人一倍責任感が強い彼女だが、その根底には「サロモをやりたくてしょうがない」という素直な動機が、彼女を突き動かすのだと感じた。

hair:前田悟(ブロッサムBK坂戸店)
photo:中村彰男

高橋りなサロンモデル

1987年8月15日生まれ。2015年9月からサロンモデルを始め、2016年3月Coupeモデルオーディションに合格。現在はサロンモデルを中心に活動し、1ヶ月の撮影依頼数は20件ほど。instagramのフォロワーは13,000名を超え、ボブスタイルの人気サロンモデルとして各メディアに取り上げられている。
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羽佐田瑶子ライター/編集

1987年生まれ。伝統文化、食、アイドル、映画、音楽、演劇などカルチャー全般を執筆。『Quick Japan』、『BRUTUS』、『CINRA』など。好きなものは、美しくてロマンチックなもの(短歌や岡崎京子や民藝)。生息地は下北沢と鎌倉。

CREDITS
写真:ミネシンゴ
取材・執筆 羽佐田瑶子
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