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女性の美とヘアデザイナーの知見を日々科学する研究所に潜入レポート
〜ミルボンが目指す「感性と科学の融合」って?〜【前編】

ROOTS | 2017.08.29

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女性ひとりひとりの美はさまざま。髪質や地域による違いから、人間ひとりひとりの個体差もありますが、じつは、髪についてはまだまだ解明されていないことも多いのだそう。今回はそんな髪の不思議や普段私たちの髪に施されている製剤がどのように誕生しているのかを、さらに深めて探っていくべく、女性の髪にまつわるさまざまな研究を行うミルボンの中央研究所を訪ねます。きっと、シャンプー剤やヘアケア商品の開発のみならず、そんなことも研究しているの!という驚きがあること間違い無しです。

髪を感じる、髪を科学する。いざ、ミルボン中央研究所へ

「美しい髪」ってなんだろう。美容室へやってくるお客さまひとりひとりと向き合う美容師さんには、毎日触れるそれぞれの髪の膨大な知見があります。その髪の状態の解明や、それを生み出す頭皮などの基礎的な研究をより深めていきたい。ミルボンにはそんな思いがあるようです。
サロン専売品であるミルボンの使命は、今までの美容業界ではまだまだわかっていない頭皮と毛髪の基礎研究を深め、解明すること。そして美容師さんが経験的に持つ感覚を分析して数値化し、ミルボンの製品開発につなげていくこと。そのためにできたのがこのミルボン中央研究所。研究所に今回は潜入し、研究所の基礎研究グループをまとめ、理学博士でもある伊藤さんにご案内いただきます。





まずはじめに案内いただいたのは、カラー剤やパーマ剤、そしてシャンプーやヘアケアのサンプルを試作する開発研究室。

新たな商品開発のために多くのサンプル試作を研究員の皆さんが日々行っている場所です。ひとつの商品が完成品となるまでには最低でも80回、多いものだと数百回は試作を重ねていくのだと伺い、研究開発職って想像通り、いや、想像以上に、なんとも細かな実験の繰り返しなのだな…、と実感します。

「たとえばこれは“50本、23cmの毛髪”という基準で、さまざまな髪質のサンプルを用意し、パーマを施してそれぞれを比較しているところですよ」と研究員のおひとりが教えてくれました。ちなみに、こういった試作に用いる毛髪は、全国のサロンがボランティアで送ってくれるそう!

「これは“156回目”という意味のはずですね。使用できるサンプルができるまで、試作に試作を重ねていくんですよ」(伊藤さん)

こちらはカラー。美容師さんからもいろいろとお話を聞きながらどんな色を次に作ろうか決めていくそうです。毛束になるとあまり差が見えないような色味の違いも、このあと1本ずつで見てチェックしていくとのこと。発色のわずかな違いによる質感の違い、研究員の方々が細かく見ていく作業が続きます。

「こうして確認を重ね、使用していただける状態になったサンプル品は、発売前にまず美容師さんにもテストしていただき、評価・フィードバックをもらいます。開発期間はスタイリング剤だったら1年、シャンプーで2~3年くらいでしょうか。パーマ・ストレート剤などだと、技術革新が起こらないとなかなか新しいものが生まれないので、長いものだと実験の開始から商品の完成までに5年くらいかかったりもします」と伊藤さん。

「ミルボンには『TAC製品開発システム』という仕組みがあります。TACとは、“Target Authority Customer”という考え方で、サロンという現場で最もお客様と触れ合い、美容技術を駆使してお客さまに支持されている美容師さんたちとともに、市場のニーズをしっかり汲み取った最先端の企画・商品を生み出そう、という考え方です」(伊藤さん)

ここにいる研究員の皆さんも、じつはサロンの美容師さんのところへ伺う機会が多々あり、研究所と現場が密接に関わっているのだそうです。廊下には、1991年頃からともに製品を誕生させてきた美容師さんたちの写真がずらりと並んでいました。

美容師さんのようにシャンプーできるミルボン社員。
“社内サロン”も日々フル回転

伊藤さんが次に案内してくれたのは研究棟に隣接する開放感あふれる空間。え、待ってください。シャンプー台も完備されているし、ここって本物の美容室なんですか?

「じつはミルボンの社員は美容師さんのようにシャンプーしたり、パーマを巻いたりするトレーニングを受けているんですよ。僕は研究の世界で生きてきて博士号を持っているんですが、ミルボンに入ったことによりシャンプーもできるようになって…。博士でシャンプーできる人、結構レアではないかと思っているんですが」と笑いながら話してくれた伊藤さん。ミルボンは入社すると9ヶ月間の研修がありますが、そのうちなんと3ヶ月間は美容師さんが持っている基礎技術を同等に身につける為の研修というから、これはさすがに驚きです。

サロンと同じ環境を用意し、なるべく同じ技術を身につけ、美容師さんの苦労もわかり、美容師目線で研究ができる研究員であること。ミルボンが現場の知見を大切にする姿勢がここにもひとつ、見えました。

≫「〜ミルボンが目指す「感性と科学の融合」って?〜【後編】」はこちら

鈴木絵美里 ライター/編集者

東京外国語大学卒業。広告会社と出版社での10年間の勤務を経て現在はフリーランスで編集企画執筆に携わる。新しいローカルコミュニティ、食、農業、働き方、暮らし方、場づくりなどの題材を幅広く扱う。湘南生まれのロックンロール育ち。

CREDITS
写真:ミネシンゴ
取材・執筆:鈴木絵美里
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