HOW TO
トリートメント効果を高める秘密 美容師の美容技術とは?〈ミルボン実験室⑤〉
ヘアサロンでのトリートメントって、自宅でトリートメントをした後よりも、抜群に効果を実感しませんか?
サロントリートメントは、その人の「髪質」「ダメージ状態」「仕上げたいシルエット」などを考慮し、美容師さんが“プロの目”で見てトリートメントをセレクトし、プロの技術で施術するため、特別に効果が得られやすいもの。
実は、同じトリートメントを使ったとしても、塗布後のなじませ方など様々な美容技術によって、その効果が変わることもあるのだとか!
では、美容師さんはどのようにサロントリートメントを行っているのでしょうか?
トリートメント効果を最大限に引き出すプロの美容技術を探るため、ミルボン中央研究所に潜入取材してきました!
なんとミルボンには、美容師さんの美容技術を解明する専門家がいるのだそう!今日は特別に、その専門家にお話を聞いてきました。
キホンをおさらい!トリートメントの役割って?
トリートメントとは、ヘアカラーなどのダメージやエイジングなどによって変化した毛髪に効果的なケア成分を補給し、健やかに導き、美しさを高める役割を担うアイテムのこと。毛髪の指通りをよくしたり、毛先のパサつきを抑えてまとまりを与えたりするなど、美観や手触りの改善に加え、毛髪を補修したり保護したりする効果が期待できます。
高橋 初歩的な質問ですが…リンスやコンディショナーとはどう違うんですか?
Kさん 実は正式な分け方の基準はなく、各メーカーの判断で呼称を決めています。
業界にいる僕の感覚としては、リンスは粘性の低いもの、トリートメントは粘性の高いもの、コンディショナーはその中間程度の粘性のものを指すことが多いイメージはありますね。ですが明確な決まりはありません。
高橋 では、自宅で行うトリートメントとサロントリートメントの違いはなんでしょう?
Kさん まず、サロントリートメントは美容師さんがその人の悩みや毛髪の状態に合わせて最適と思われるアイテムをセレクトし、美容技術を駆使して最大効果を発揮してくれるというところが大きな違いです。毛髪の状態に応じて、高効果のトリートメントをいくつも組み合わせたり、塗布時の美容技術を変えたりといったカスタマイズケアが可能なことも特徴ですね。
もうひとつは、設計の違いです。サロントリートメントは1回で高い補修効果や実感効果を発揮するように設計されています。ホームケア用のトリートメントは基本的に毎日使い続けていただくものですので、徐々に効果を発揮するよう設計しているものが多く、ケア成分を毎日補給できるというメリットがあります。一般の人がご自宅で使うため、ベタつきなどの失敗がされにくいようにも作られています。
高橋 なるほど!サロントリートメントを毎日やればいいというわけでもないんですね!?
Kさん そうですね。サロントリートメントでは高い濃度で配合されたケア成分が毛髪にたくさん吸着していくので、毎日使ってしまうとどんどん蓄積してしまい、心地よい質感とは違ってきますね。
高橋 そもそもの目的や役割が違うんですね。ホームケア用のアイテムは毎日の使用で徐々に効果を発揮するということは…その日のコンディションによって数種類を使い分けたりせず、同じアイテムを使い続けたほうが良いですか?
Kさん ヘアスタイルやカラー履歴、年齢によっても髪の悩みは変化していくものですよね。髪の状態やなりたい姿、ときには季節に合わせてヘアケアアイテムを使い分けるのもおすすめです。
ですが、数日でチェンジするのではなく、ある程度長期的に使い続けたほうがより効果が高まっていく場合が多いのも事実のため、特定の悩みやなりたい姿があり、今のトリートメントが気に入っている場合は、使い続けることをおすすめします。
悩みや理想の状態が変化したときなど、ヘアケアアイテムの選び方や使い分けに迷ったときは、美容師さんに相談してみてほしいです。きっと、そのときの髪の状態にピッタリのものをセレクトしてもらえると思います。
高橋 シャンプー後のトリートメントは1種類を使い続けていたので、設計的にも正解だと知って安心しました。
髪の状態や悩みが変わってきたら、真っ先に美容師さんに相談します!即効性のあるスペシャルケアがしたいときはサロントリートメントをしてみます!
プロの美容技術を深掘り!
最大限にトリートメント効果を発揮できる秘訣があるなら、ぜひ教えてほしいですよね。
ここからは、具体的な美容師さんのプロの美容技術を聞いていきます!
高橋 サロンでのトリートメントって、ただ塗っているだけじゃないんですね!?だいたいシャンプー台では視界が隠れちゃうので、何をされているのか謎すぎるんですけど…!
Kさん トリートメント効果を高めるために、美容師さんは豊富な経験や手指の優れた感覚に基づいて、トリートメントを塗布した後に髪の毛を手でもみこんだり、コームを通したり、なかには加温機などの機械を使う場合もあります。毛髪の状態を繊細に見極めながら、挙げればキリがないほどの多くの技術を駆使していますね。
こういった美容師さんならではの特別な技術のことを、“美容技術”と呼んでいます。
実際に、美容技術があるのとないのとではどのくらい仕上がりが変わるのかな?と気になって、自分でカットマネキンを用いて再現してみたんです。すると、仕上がりのシルエットが全然違って…正直最初は驚きました。
Kさん これは私が実験的に再現してみたものですが、美容師さんは、一人ひとりの毛髪の状態を見極めて、目的に合わせて、様々な美容技術をされています。
ミルボンでは“美容師さんの美容技術”を研究することにも力を入れていますので、トリートメント塗布後に美容師さんが行っているあらゆる技術が、毛髪にどのように影響を与えているのかについても、日々調べています。
Kさん 見た目でわかりやすくするために、白い毛束に対して、赤色色素を配合した特別なトリートメントを使って実験をしてみた様子です。
このようにして着色された毛束を観察すると、外観で吸着した成分の濃さの様子、毛髪の断面では内部浸透の程度の様子を見ることができます。
高橋 私がシャンプー台でうとうとしている間に、一生懸命浸透させてくれていたんですね…!ほかにも美容師さんならではの技術ってありますか?
Kさん 塗布技術はもちろんのこと、髪の毛の状態を見極める技術も、美容師さんならではです。ダメージの大きい毛先数センチに塗ったほうが効果が高いものもあれば、中間部分からの塗布に向いているものもあります。髪の毛の状態を見極め、使うトリートメントの目的に合わせて、塗布する量や場所もコントロールしています。
根元付近からベタつかせずに適切にケアする技術も、美容師さんだからこその技ですね。
高橋 サロンには目的が細分化されたトリートメントがたくさんあるってことですね。
同じトリートメントを使っていても美容技術で結果が違ってくるなんて、びっくりです!
ホームケアに取り入れよう!トリートメントのHOW TO
美容室では効果の高いトリートメントを使用しているだけではなく、一人ひとりの髪の状態にピッタリのアイテム選定、美容技術の駆使などプロの技の数々で美しい仕上がりを創っていることがわかりました。
では、自宅でのセルフケアでトリートメント効果を高めるには?
ホームケアでのポイントを段階ごとにご紹介します!
①まずはトリートメント前のシャンプーをしっかり行う
シャンプー前には、ほこりや汗などお湯でも落としやすい汚れを落とすため、約1分半38℃のぬるま湯で予洗いするのがおすすめ。
予洗いしておくと無理なく泡立たせることができ、毛髪の摩擦ダメージ抑制にもつながります。洗髪後は適度に水を切りましょう。
\予洗いの重要性については、こちらもチェック!/
300人の頭皮を嗅いだプロが語る!頭皮のニオイを撃退する、正しいシャンプーの方法とは? 〈ミルボン実験室②〉| Find Your Beauty MAGAZINE (milbon.co.jp)
Kさん 予洗い後、まずは頭皮をしっかり洗い、毛髪まで泡を行きわたらせ、髪の汚れを落とします。
このとき、濡れた状態で毛玉のような絡まりができるとなかなか直せず、トリートメントも絡まった状態で塗布することになってしまいます。そうなるとトリートメントが髪一本一本に行きわたらず仕上がりにも悪影響です。
洗髪後は絡まりなくまっすぐ整った状態にしてからトリートメントしてあげましょう。
高橋 そういえば私の永遠の謎だったんですけど、シャンプーを洗い流すときって頭を下に向けて襟足部分から流すべきか、天を仰いでおでこ部分から流すべきか、どっちが良いんですか?
Kさん うーん(難しい質問だなあ…)…耳の後ろや後頭部は洗い流しにくい部分なので、洗い流すことを重視するのであれば、頭を下に下げて襟足部分から流すほうがいいかもしれません。ですが、そうすると毛流れと逆向きに洗い流すことになるので、長い髪の毛の場合は絡まるリスクは高まりますね。
髪の毛は、濡れた状態で絡まると引っかかってダメージの原因になってしまったり、トリートメントを均一に行きわたらせにくくなってしまったりしますので、キレイに仕上げるためには天を仰ぐスタイルのほうが個人的にはおすすめですね。
洗い残しがあるとベタつきやかゆみの原因になりますので、耳の後ろや後頭部など流しにくい部分に気を付けて、きちんと流すようにしてください。
高橋 今夜から仰向けで、しっかりと流そうと思います!!
②シャンプー後は髪の流れを整え、中間から毛先のダメージ感の気になる箇所を中心にトリートメントを塗布
ジャンボコームなど目が粗めのコームでとかすと均一になじませやすくなります。さらにこのタイミングで軽くもみこむようにすると、手触りや質感が向上しやすくなりますよ!
Kさん 放置していてもトリートメントのヘアケア成分は徐々に毛髪内に浸透していくのですが、 毛髪の表面に接している部分の成分はだんだん濃度が低くなり、毛髪内に入りにくくなっていきます。もみこんだりコーミングしたりすることで毛髪の表面でトリートメントが攪拌され、毛髪表面に触れている成分の濃度が高く保たれ、毛髪内に入りやすくなっているものと考えています。
自宅でもみこみやコーミングを行う際は、毛髪にのせたトリートメントを、やさしく循環させてあげるイメージでやってみてください。
力いっぱいもみこまなくても大丈夫ですし、コームで力強く引っ張ってしまうのはむしろNGです。
もみこみに関しては、やりすぎると重たくなりすぎて好みの質感を逸脱する恐れもあります。自分好みになるようトライしてみてくださいね!
③トリートメントをすすぎ洗い流す
トリートメントが残っていると肌トラブルやベタつきのもとになるので、きちんとすすぎ流しましょう!
高橋 放置時間を長くしたり、使う量を多くしたりするのはどうでしょうか?
Kさん 少し長めに置いておくと効果が出やすいと思います。量も少ないよりは多いほうが、効果的なことが多いです。もうちょっと効果を感じたいな、というときは、塗布後に少し置いてみたり、少し多めに使ってみたり、というのはやってみる価値があると思います。
ですが、長く置いても多く使っても、内部までは浸透せず毛髪表面に留まって効果をもたらしてくれるケア成分もありますし、時間や量でコントロールできる効果には限界があります。一概に「時間をかければかけるほど良い」「量が多ければ多いほど良い」というわけではありません。
もし使っているトリートメントの効果に満足できないときは、使い方もあわせて美容師さんに相談してみることをおすすめします。
Kさん また、過剰な量や放置のし過ぎはベタつきや肌トラブルのもとになる可能性もあるため、メーカーが推奨する使い方を守ってください。
おわりに
Kさん まずはぜひ、自分のなりたい姿や質感を想像してみてください!また、ダメージやエイジング変化で悩んでいることはないですか?美容師さんとのカウンセリングを通して自分にとってのベストを探しましょう。
美容室で注目してみると、サロントリートメントが、1つではなく複数のボトルに分かれていることに気づくかもしれません。それぞれのボトルには、様々な種類のダメージ補修や保湿、サラサラ感など、それぞれの効果に特化した成分が入っています。
一人ひとり異なる髪の状態に対して、1つのトリートメントですべてのケアをまかなうのは難しいですが、サロントリートメントでは、その人の髪の状態に最適なヘアケア成分を、毛髪の内部から最表面まで順番にきちんと届けることができ、持続性まで考えられています。
サロンでのトリートメントは、キレイレベルがわかりやすく上がるため、なにか特別なイベントの前や、自分へのご褒美として使われる方も多いと聞きます。
ぜひサロンにも足を運んで実感してみてください!
美容室で髪悩みの相談をすると、プロの美容技術によってより的確にトリートメントメニューの提案をしてくれたり、自宅での最適なケアを教えてくれたりするはず。自分の髪の状態を正しく理解することは難しいので、プロの目が頼りになります。
美容師さんの技を取り入れつつ正しいホームケアを行いながら、ぜひサロンでのスペシャルケアも堪能してみてくださいね!
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