LAB

髪と頭皮を科学する!異色の研究者、伊藤廉の研究室へようこそ|vol.3 髪と頭皮のエイジングサインを見極めよう!

LAB

SHARE

カラーやパーマのダメージ、伸びるにつれ傷んでいく髪、老化によるうねりや薄毛、白髪……すべて仕方のないこと、抗いようのないことだと思っていませんか?
実は、その髪悩みのどれもが、ケア次第で改善できたり進行を遅らせられたりする可能性があるんです!
この連載では、髪と頭皮研究の第一人者として、メディアにも多数出演しているミルボン研究員・伊藤廉さんを先生に迎え、数々の髪悩みを解明していく研究室を開講!
第三回は、エイジングにともなう頭皮と髪の変化、そして気になるケア方法について学んでいきます。

先生:伊藤 廉(いとう・れん)
大学卒業後、大学や国の研究機関での研究職を経て、2011年、ミルボン研究員に。基礎研究グループの責任者として、毛髪だけでなく安全性やヘルスケアなど新領域の研究にも取り組んでいる。東北大学特任准教授や社外研究員を兼務しながら、髪の専門家として全国を飛び回るすごい人。

髪と頭皮のエイジングサインとは?

加齢の悩みの代表ともいえる、薄毛や白髪。前回の記事では、後天的な美容行動で薄毛や白髪の予防やケアができることを学びました。では具体的に、初期症状としてどのようなエイジングサインが髪や頭皮にあらわれるのでしょうか? 気になるケア方法も併せて紹介します!

─前回は、頭皮が赤い=炎症状態にあることと、薄毛や白髪に関連があるというお話を伺いました。それ以外の頭皮や毛髪のエイジングサインは?

分かりやすいエイジングサインは「毛髪のうねり」ですね。加齢に伴う頭皮の酸化が要因のひとつと考えられています。
前回、お話しした“活性酸素”を覚えていますか?筋肉を動かすことで発生する活性酸素は、身体に良い働きをしてくれる一方、老化の原因にもなる存在。筋肉が動きにくい生え際には活性酸素が溜まりやすく、老化が促進されやすいのです。さらに、年齢を重ねると抗酸化力が落ち、活性酸素を処理しきれなくなっていきます。

一般に、活性酸素は紫外線に当たることでも発生すると言われています。
さらに、ドライヤーの熱が酸化物質を生じさせることも分かっています。

─活性酸素がさまざまなエイジングサインを引き起こすのですね! ほかにも活性酸素が生まれてしまう環境などはありますか?

頭皮の常在菌も活性酸素を生じさせることが分かっています。“エンテロコッカス属”という常在菌の存在比率が多い人ほど頭皮が硬く、毛髪のうねりが強い傾向があります。ミルボンではこの菌を「老化菌™」と呼んでいます。若い世代では保持率が1〜2割ですが、50代以降では約9割が保持しているという研究結果もあります。

─その老化菌って、毎日の洗髪では洗い流せないんですか!?

残念ながら洗い流せません。たとえば、ニキビでいうところの“アクネ菌”と一緒です。通常の洗顔で洗い流すことはできず、改善するには専用の洗顔料などが必要ですよね。頭皮の状態や髪質に合ったアイテム選びは、ぜひ美容師さんに相談してみてください!

─ほかにも、エイジングサインはありますか?

「頭皮の黄ぐすみ」もエイジングのサインです。炎症による赤みと併発して、錆びたような茶色に見えることがあります。肌と同様、抗酸化作用のある食べ物の摂取などで改善が見込めます。

\頭皮の赤みケアについては、前回の記事をチェック!/
髪と頭皮を科学する!異色の研究者、伊藤廉の研究室へようこそ。②薄毛と白髪は遺伝? 諦めるしかないの!?| Find Your Beauty MAGAZINE (milbon.co.jp)

─白髪・薄毛・うねり毛や、それらに関連する頭皮のSOSサインについて聞いてきました。それ以外にもありますか?

「頭皮が乾燥している気がする」「髪がパサつきやすくなった」など、乾燥の悩みも増えてきます。老化に伴い、頭皮も髪も潤いを保ちにくくなるためです。
ですが、特に頭皮の乾燥について自己判断はとても難しいんです。
顔や体の肌の場合は、乾燥していることがすぐ分かりますよね。でも、頭皮は毛髪に覆われていて自分では見ることができません。そのため、感覚と実際の状態が違う場合も多いんです。
かゆみやフケがあると「乾燥している」と思いがちですが、実際には皮脂汚れが残っていたり炎症が起きてしまっていたりする場合もあります。
以前、約300人の頭皮を調査したところ、「乾燥していると思っていたが脂質過多」やその逆のケースが多数ありました。

頭皮の状態に合ったスカルプケア用のシャンプーに出会うことが大切です。

─スカルプケア用のシャンプーに挑戦してみても、脂っこくなってしまったり、フケが増えてしまったり、なんて声を聞くこともあります。なぜなんでしょう?

乾燥している人が洗浄力の強いシャンプーを使うと、脂質を取りすぎて過剰分泌を招いてしまうことがあります。また、洗い流し不足もトラブルの原因になります。
さらに、泡立ちが悪すぎる製品は、洗浄成分が行き渡らずに汚れが残ったり、摩擦で毛髪を傷めてしまったりする場合もあります。
だからこそ、自分の頭皮や髪の状態に合った製品選びが大切です。

しかし、頭皮は毛髪以上に自分で状態を見ることができません。乾燥なのか、皮脂過多なのか、自己判断は難しいのです。
美容室でプロに見てもらうことをおすすめします!

\頭皮の“ニオイ”については、こちらをチェック!/
300人の頭皮を嗅いだプロが原因と対策を語る!ニオイを撃退する正しいシャンプーの方法とは?〈ミルボン実験室②〉| Find Your Beauty MAGAZINE (milbon.co.jp)

─市販の育毛剤の使用については、廉先生から見ていかがですか?

なにもしないよりも、使ってみるほうがきっといいと思います。単体使用でもいいのですが、ほかのケアとの併用がおすすめです。日本では薬機法により製品の効果表現が厳しく定められていますので、安全性や効果の検証をしっかり行っているメーカーの製品を選ぶと、安心感がありますね。

ミルボンでも、育毛ケア研究に力を入れています。頭皮につけるだけでなく、インナーケアといったアプローチ、頭皮と顔の肌の状態の関連性についても研究を進めています。今後のニュースにも期待していてください!

次回の連載テーマは…?

なんとなく気になっていても、自分の目では状態が判断しにくいだけに対応が遅れてしまいがちな髪と頭皮の変化。
変化した原因に応じて、科学的に正しいケアをすることが大切です。少しずつ、“未来の美髪”につながるチェック方法やケアのヒントが見えてきた気がしますね。

次回は、伊藤廉先生の著作『大人髪のトリセツ』書籍編集者・長田和歌子さんをゲストに迎え、対談をお届け!
刊行から二年を迎えたいま、お二人から見た最新のヘアケアトレンドについてお伺いします。お楽しみに!

併せて読みたい記事

育毛ケアに新たな可能性!? ~髪を生み出す“幹細胞研究”への新たな挑戦~| Find Your Beauty MAGAZINE (milbon.co.jp)

【白髪の予防と抑制】白髪には早めの頭皮ケアが有効?! ~ミルボンが徹底研究する白髪のひみつ~| Find Your Beauty MAGAZINE (milbon.co.jp)

RECOMMENDED POSTS

FOLLOW US